弁護士と依頼者の通信秘密保護制度の確立に関する基本提言

 

2016年2月19日
日本弁護士連合会

  

本提言について

依頼者が弁護士との相談内容を秘密にする権利は、諸外国において、司法制度の原則として確立しています。一方で、我が国では、各種手続において弁護士との相談が秘密でないことから、依頼者がその権利を行使し、防御を充分に行うことができない、あるいは弁護士に相談することを躊躇するなどの弊害が指摘されています。

 

このような問題意識から、当連合会では、「依頼者が弁護士に相談した内容を民事・刑事訴訟手続、仲裁等の裁判外紛争解決手続、さらには行政庁による調査手続等で開示を拒否することができる権利を保障する制度」(通信秘密保護制度)について、2014年(平成26年)1月に「弁護士と依頼者の通信秘密保護制度に関するワーキンググループ」を設置し、同制度の必要性、法律上の問題点、諸外国の状況その他当該制度を我が国に導入する場合の課題についての調査・研究を行いました。同ワーキングループでの約2年間の検討を経て、2016年(平成28年)2月に最終報告書が取りまとめられました。

 

この最終報告を受けて、当連合会では、我が国に通信秘密保護制度を確立することを求める基本提言を2016年(平成28年)2月19日付けで取りまとめ、2月25日付けで法務省、公正取引委員会、各政党代表、最高裁判所ほか関係各所に提出いたしました。

 

本提言の趣旨

法令遵守を促進し、法の支配を社会の隅々に行き渡らせるため、依頼者と弁護士間の相談内容の秘密が守られることを確保し、もって弁護士に依頼・相談する依頼者の権利として保障するべきである。具体的には、以下のように制度を整備するべきである。

 

(1) 民事・刑事等訴訟手続又は行政手続等のいずれの手続においても、情報の開示が法律上または事実上強制される場合、依頼者及び弁護士の双方に、法律上の開示拒絶権を認める。

 

(2) 併せて、正当な開示拒絶権の対象であるか否かの判定のための適切な仕組みを設ける。

 

(3) 身体の拘束を受けている者であって、他人との面会や信書の発受が制限される者について、弁護士から法的助言を受けるために立会人なく面会をすること、または信書の検査を受けないことを立法で保障する。

 

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)