「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を直ちに講じることを求める要請書」及び「死刑制度に関する当面の検討課題」

2012年10月30日
日本弁護士連合会


 

本要請書及び当面の検討課題について

当連合会は、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を直ちに講じることを求める要請書」及び「死刑制度に関する当面の検討課題」を取りまとめ、2012年10月30日に滝実法務大臣に提出しました。

 

本要請書の趣旨

1 死刑えん罪事件を未然に防ぐため、緊急に以下の措置を講じること。


(1) 科学的に信頼性の高い方法によって再鑑定を受ける権利の確立


(2) 死刑確定者と弁護人等との秘密交通の確保


(3) 再審請求における国選弁護制度の創設


(4) 再審請求による死刑執行停止効の確立


2 死刑制度の廃止についての全社会的議論を行うため、以下の方策をとること。


(1) 死刑制度とその運用に関する情報を広く公開すること。とりわけ、政務三役で行われている死刑執行の在り方に関する検討については、現在までの検討状況を明らかにした上で、直ちに検討方法の抜本的見直しを行い、法務省に有識者会議を設置する等の方策をとること。


(2) 上記の議論が尽くされるまでの間、すべての死刑の執行を停止すること。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)

 

 

死刑制度に関する当面の検討課題

→英語版(English)

 

下記の当面の課題について討議するため、法務省側と日弁連側で意見交換する場を設けられたい。



1 法務省に死刑制度の存廃について議論する有識者会議を設置して、死刑制度とその運用に関する情報を広く公開し、死刑制度に関する世界の情勢について調査し、徹底した調査と議論に基づいて、今後の死刑制度の在り方について結論を出すこと

 

2 死刑執行を停止すること

 

3 犯罪時20歳未満の少年に対する死刑の適用は、速やかに廃止することを検討すること

 

4 死刑の量刑判断について裁判官及び裁判員の全員一致制を採用すること

当連合会は、生命尊重、誤判防止の観点から、死刑の量刑判断について全員一致制をとることを求めている。これは、裁判官、裁判員の負担を軽減するためにも必要なことである。

 

5 死刑判決に対する自動上訴制及び死刑判決を求める検察官上訴の禁止等に直ちに着手すること

 

6 執行の事前告知を含め死刑執行の方法を検討すること

 

7 死刑えん罪事件を未然に防ぐための措置を検討すること
(1) 科学的に信頼性の高い方法によって再鑑定を受ける権利の確立
(2) 死刑確定者と弁護人等との秘密交通の確保
(3) 再審請求における国選弁護制度の創設
(4) 再審請求による死刑執行停止効の確立

 

8  死刑に代わる最高刑を検討すること

 

9 死刑確定者の恩赦の在り方を検討すること

 

10  死刑確定者の処遇を改善すること

 

11  世論調査の在り方を検討すること

 

12  その他