「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」(中間報告書)に対する意見

本意見書について

はじめに

医科学技術の進歩は、これまで我々に様々な恩恵をもたらしてきた。



しかし、胚、胎児、人や死者、人体の一部やそれらの情報などを対象とする医科学技術の急速な進展は、人間の尊厳を侵す危険性をも有している。



それゆえ、日本弁護士連合会(以下「日弁連」という)は、これまで医療現場における医師と患者の関係、生殖補助医療のあり方についての調査研究を続け、提言も行ってきたところであり、また昨年(2003年)10月に開催された人権擁護大会においては、人の誕生や受精卵・胚に関する先端医療・医科学研究についてのシンポジウムを開催し、それらのルール策定を求める決議も採択したところである。



ところで、今般、総合科学技術会議生命倫理専門調査会が、「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」(中間報告書以下「中間報告」という)を発表した。



これは焦眉の課題と言われている人胚、殊に人クローン胚の「利用」の可否につき調査会が2年余りをかけて行った議論をまとめたものであるとされ、社会に対し問題提起を行ない、社会的議論を喚起しようとしたものである。



しかしながら、この中間報告自身が認めているとおり、この報告は議論の出発点にすぎず、この報告によって何らかの結論が得られたとは到底評価できない。報告内容をみても賛成意見・反対意見が単純に要約され、列挙されるにとどまっており、いかなる議論がどのようになされたのかが理解しにくい。そのような形式の上で「委員の大多数の見解は」などと整理したのでは今後の議論をミスリードする恐れなしとしない。



そこで日弁連は、昨年の人権擁護大会シンポジウムの成果及び採択された決議を踏まえ、中間報告に対する意見を述べるものである。



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