令和5年司法試験最終合格発表に関する会長談話


本日、令和5年司法試験の最終合格者1,781人が発表された。


情熱をもって法曹を志し、晴れて司法試験合格を果たした方々に対し、心からお祝いを申し上げる。


当連合会は、市民にとってより身近で利用しやすく頼りがいのある司法を実現するために、司法基盤の整備、司法アクセスの拡充、弁護士の活動領域の拡大などに積極的に取り組むとともに、社会の様々な要請に応えることができる質の高い法曹を輩出するべく、法曹養成制度の改革に主体的に取り組んできた。本日、司法試験合格を果たした方々におかれても、これから始まる司法修習において一層の研鑽を積み、社会の期待に応える法曹として活躍されることを期待する。


年間の司法試験合格者数については、平成24年3月15日付けの「arrow_blue_1.gif法曹人口政策に関する提言」において提言した1,500人への減員がほぼ達成されたと言える状況となったことなどを踏まえて、現実の法的需要、司法基盤整備の状況、法曹の質等の観点から司法試験合格者数の更なる減員について検証を開始し、令和4年3月17日に「arrow_blue_1.gif法曹人口政策に関する当面の対処方針」として、その検証結果を取りまとめたところである。


本年の司法試験合格者数は、1,781人となり、前年の1,403人から378人増加した。前年より大幅に司法試験合格者数が増加しているが、これについては、本年から、法科大学院在学中の司法試験受験が可能となったことによる司法試験受験者数の増加の影響等も考えられることから、現行の制度下における司法試験合格者数の今後の推移については、司法試験受験者数のほか、我が国の人口動向、都市部とそれ以外の地域の人口等の変動の状況、国際化の進展、IT化の進展などの司法を取り巻く社会状況の変化とともに、注視していく必要がある。


当連合会は、法の支配の担い手である弁護士が社会の隅々でその役割を果たすことができるよう、引き続き、弁護士の活動領域の拡大、司法基盤の更なる整備に取り組んでいく。また、多様で有為な人材を法曹界に迎えることができるよう、女性法曹の増加など法曹の多様性の確保に積極的に取り組むほか、関係諸機関とも連携しながら、法曹の魅力を広く社会に発信して法曹志望者増加に向けた取組を一層推進するとともに、質の高い法曹を養成するために力を注ぐ所存である。



2023年(令和5年)11月8日

日本弁護士連合会
会長 小林 元治