令和4年司法試験最終合格発表に関する会長談話


本日、令和4年司法試験の最終合格者1,403人が発表された。


法曹養成制度の改革が進む中、情熱をもって法曹を志し、晴れて司法試験合格を果たした方々に対し、心からお祝いを申し上げるとともに、これから始まる司法修習において一層の研鑽を積み、社会の期待に応える法曹として活躍されることを期待する。


当連合会は、市民にとってより身近で利用しやすく頼りがいのある司法を実現するために、司法基盤の整備、司法アクセスの拡充、弁護士の活動領域の拡大などに積極的に取り組むとともに、社会の様々な要請に応えることができる質の高い法曹を輩出するべく、法曹養成制度の改革に主体的に取り組んできた。


年間の司法試験合格者数については、まずは1,500人に減じて急激な法曹人口の増員ペースを緩和すべきことを平成24年3月15日付け「arrow_blue_1.gif法曹人口政策に関する提言」において提言した。また、政府の法曹養成制度改革推進会議は、平成27年6月30日に「法曹養成制度改革の更なる推進について」を発表し、当面、1,500人程度の司法試験合格者は輩出されるよう、必要な取組を進めることとした。


その後、司法試験合格者数の1,500人への減員がほぼ達成されたと言える状況となったことなどを踏まえて、当連合会では、司法試験合格者数の更なる減員について、現実の法的需要、司法基盤整備の状況、法曹の質等の観点からの検証を開始し、令和4年3月17日に「arrow_blue_1.gif法曹人口政策に関する当面の対処方針」として、その検証結果を取りまとめたところである。


本年の司法試験合格者数は、1,403人となり、前年の1,421人から18人減少した。司法試験合格者数の推移については、集中改革期間を経て行われた法科大学院制度改革や法曹志望者増加に向けた取組等の成果、司法試験受験者数の動向のほか、我が国の人口動向、都市部とそれ以外の地域の人口等の変動の状況、国際化の進展、IT化の進展など司法を取り巻く社会状況の変化も踏まえて、今後も注視していく必要がある。


当連合会は、法の支配の担い手である弁護士が社会の隅々に至るまでその役割を果たすことができるよう、引き続き、弁護士の活動領域の拡大、司法基盤の更なる整備に努めるとともに、女性法曹の増加、法曹の多様性の確保などにも積極的に取り組んでいく。その前提として、法曹界において多くの有為な人材を確保することが極めて重要であり、関係諸機関とも連携しながら、法曹の魅力を広く社会に発信して法曹志望者増加に向けた取組を一層推進し、質の高い法曹を養成するために力を注ぐ所存である。



2022年(令和4年)9月6日

日本弁護士連合会
会長 小林 元治