「法曹養成制度改革の更なる推進について」に関する会長声明

本日、政府の法曹養成制度改革推進会議は「法曹養成制度改革の更なる推進について」を決定した(以下「推進会議決定」という。)。これは、政府の法曹養成制度検討会議が2013年(平成25年)6月26日の取りまとめにおいて指摘した、司法試験合格率の低迷、法曹養成課程における経済的・時間的負担、修習終了後の就職難を原因とする法曹志望者の減少という状況を食い止め、質・量ともに豊かな法曹を輩出しなければならないという危機意識のもと、同年9月から23回にわたって開催された法曹養成制度改革顧問会議における議論や、関係諸機関、諸団体の意見等を踏まえてなされたものである。

 

この間、当連合会は、2012年(平成24年)の「法曹人口政策に関する提言」と「法科大学院制度の改善に関する具体的提言」に基づき、司法試験合格者数をまず1,500人にまで減員すること、これを前提として法科大学院の統廃合と定員の大幅な削減を行い、教育の質を向上させ司法試験の合格率を上昇させること、予備試験については制度趣旨を踏まえた運用をすること、給費の実現等の司法修習生ヘの経済的支援を含む法曹養成課程における経済的負担を軽減することの各事項を、相互に関連した一つの基本方針と位置づけ、最大限の取組を進めてきたところである。

 

今回の推進会議決定においては、なお課題とされていることも少なくないが、司法試験合格者数や法科大学院制度改革、司法修習生に対する経済的支援などの法曹養成制度の整備・充実に向けた一定の改革案が示された。今後は、その実現に向け、関係諸機関、諸団体において一層の努力が必要とされる。

 

当連合会は、司法の一翼を担うものとして、この改革案を踏まえ、関係諸機関、諸団体と連携して法曹養成制度の改革に尽力し、法科大学院における教育や司法修習の充実に取り組むとともに、法曹の活動領域の拡大や司法アクセスの拡充等を図り、質・量ともに豊かな法曹が社会において幅広く活躍できるよう、その責任を果たす所存である。

 

 

2015年(平成27年)6月30日

日本弁護士連合会

会長 村 越   進