「解約料の実態に関する研究会 議論の整理」に対する意見書


2025年12月18日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日弁連は、2025年12月18日付けで「「解約料の実態に関する研究会 議論の整理」に対する意見書」 を取りまとめ、同月19日付けで、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)及び消費者庁長官宛てに提出しました。


本意見書の趣旨

消費者庁に設置された解約料の実態に関する研究会(以下「研究会」という。)は、2024年12月、「議論の整理」と題する報告書(以下「議論の整理」という。)を公表した。当連合会は、議論の整理の内容について、以下のとおり意見を述べる。


1 今後、解約料条項の有効性判断の民事ルールを検討するに当たっては、消費者契約法(以下「本法」という。)第9条第1項第1号が定められた趣旨を踏まえ、解約料が定められた目的に応じ、以下の観点を考慮しつつ、消費者の利益が不当に侵害されることがないようにすべきである。

  (1)  損失補填を目的とする解約料条項については、補填の対象とされる事業者の「損失」が具体的で合理性のあるものか、また解約する消費者によって補填されるべきものであるのかなどの観点から、取引類型ごとにあるべき解約料規制の内容を精緻化していくべきであること

  (2)  価格差別を目的とする解約料条項については、限定合理性による脆弱性 を有する消費者が、契約内容そのものはもちろん、複数の契約形態の長所と短所を十分に理解した上で当該価格プランを選択できることが実質的に確保されていない限り、正当化されないという観点を踏まえて、解約料規制の内容を検討していくべきこと

  (3)  解約料による収益向上を目的とする解約料条項については、基本的に正当性が認められないという観点から、また、解約抑止及び売上安定化を目的とする解約料条項については、これらの目的だけでは独立して正当化されないことに留意して、解約料規制の内容を検討していくべきこと


2 解約料の実態を踏まえたルール作りにおいて、消費者が主観的に不満を訴えているか否かという点から現状を無批判に追認するようなルール作りをすべきではなく、消費者にとって客観的に不利益がないか、公正性の観点から問題がないかどうかを考慮してルール作りがなされることを求める。


3 本法第9条第1項第1号における「平均的な損害の額」について、消費者による解約料条項の無効主張に関する立証負担を軽減するルール作りがなされるよう求める。




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