重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律及び特定秘密の保護に関する法律の運用基準等についての意見書
本意見書について
日弁連は、2024年9月19日付けで「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律及び特定秘密の保護に関する法律の運用基準等についての意見書」を取りまとめ、同月20日付けで内閣総理大臣、衆参両院内閣委員会委員、衆参両院情報監視審査会委員、内閣府独立公文書管理監及び内閣府公文書管理委員会委員長宛てに提出しました。
本意見書の趣旨
当連合会は、国に対し、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律(以下「重要経済安保情報保護法」という。)及び特定秘密の保護に関する法律(以下「秘密保護法」という。)の運用基準を策定等するに当たり、以下に指摘する点を実現するよう求める。
1 重要経済安保情報保護法の運用基準について、①重要経済安保情報の指定の適正を実現する観点から、重要経済安保情報の指定について的確にチェックをなし、また、解除をなし得るよう、抽象的に指定・解除を行うのではなく、文書等単位で指定・解除を行うべき旨、②適性評価の実施は労使協定の締結を条件とすべき旨、③重要経済安保情報保護法に関する刑事事件の弁護人に対し、重要経済安保情報の提供をなし得る旨を明記するとともに、その内容が中小企業等に過度な負担を生じさせるものとならないようにすること
2 情報保全監察室の幹部職員について、ノーリターンルールを導入するなどしてその独立性を確保すること
3 重要経済安保情報保護法における、衆参両院の情報監視審査会の提出要請制度について、出席委員2名以上の賛成により重要経済安保情報の提出要請を行うことを可能とする規定を設けること
4 重要経済安保情報保護法による適性評価については、法律に基づき、適性評価の運用をチェックする第三者機関を設けて、立入り、報告聴取、資料提出要求の権限を与えること、かつ、運用基準においてチェックを行う要件、方法等について明示すること
5 特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(以下「秘密保護法の運用基準」という。)における「安全保障」の要件について、秘密保護法の文言や従来の解釈を逸脱した記載は厳に慎むこと
6 秘密保護法及び重要経済安保情報保護法の運用基準について、①拡張解釈の禁止や基本的人権の尊重を担保する具体的措置として、「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(ツワネ原則)で示されている事項、②特定秘密及び重要経済安保情報の指定の有効期間の長短にかかわらず、恣意的な文書廃棄を防止するために、有効期間が満了などした情報は、全て国立公文書館等に移管すること、③特定秘密又は重要経済安保情報を取り扱う者等が違法秘密や疑似秘密(政府当局の自己保身のための秘密)に接した場合には、通報窓口に通報する責務があること、④適性評価のための調査において調査事項に関係しない評価対象者の思想、信条及び信教並びに政治活動、市民活動及び労働組合の活動について調査しないこと、また、調査の過程で調査事項に関係しない情報を取得した場合には、これを記録しないこと、をそれぞれ明記すること
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