「国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」の改定案及び「国土交通省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」等の改定案に対する意見


icon_pdf.gif意見全文 (PDFファイル;176KB)

2023年8月16日
日本弁護士連合会

 

本意見について

国土交通省総合政策局において、「国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」の改定案及び「国土交通省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」等の改定案が取りまとめられ、2023年7月25日付けで意見募集に付されました。


これに対して、日弁連は、2023年8月16日付けで、「「国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」の改定案及び「国土交通省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」等の改定案に対する意見」を取りまとめ、同年8月23日付けで国土交通省に提出しました。

 

本意見の趣旨

1 本改定案において加筆されている「正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例」は全て削除すべきである。また、「合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例」を挙げる場合は、拡大解釈されないよう十分注意した上で慎重に行うべきである。

 

2 本改定案のうち、特に以下の各点については、削除または変更すべきである。

  (1) 別紙【一般乗合旅客自動車運送業関係】2(1)②の各事例(不当な差別的取扱いにあたらないと考えられる事例)の中で、車椅子を利用するものは、車椅子固定場所を利用できない限り乗車できないかのような記載を削除するべきである。

  (2) 別紙【一般乗合旅客自動車運送業関係】2(1)②において、可能な限り乗車予定の事前連絡に協力しなければバスに乗れないかのような記載を改めるべきである。

  (3) 別紙【一般乗合旅客自動車運送業関係】2(2)③及び別紙【航空運送業関係】2(2)③において、車内持ち込み医療器具等のために複数の座席を必要とする場合において、必ず1席以上の旅客運賃を徴収するかのような記載を改めるべきである。

  (4) 別紙【航空運送業関係】2(2)③において、「事業者において、障害者から事業の一環として行っていない業務の提供を求められた場合、丁寧なコミュニケーションを経て、その提供を断る。(本来の業務に付随しないもの)」とする記載を削除するべきである。
また、別紙【航空旅客ターミナル施設事業関係】2(2)③において、「事業者において、障害者から事業の一環として行っていない業務の提供を求められた場合、お互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を行ったうえで、その提供を断る。(本来の業務に付随しないもの)」とする記載を削除するべきである。

  (5) 別紙【旅行業関係】2(1)②において、「契約を行うに当たって障害者が来店した際、互いの置かれた状況を踏まえて障害の状況等を確認しようと試みたが、円滑なコミュニケーションが取れないため、契約を断る」とする記載を削除し、意思疎通支援者を手配するなど、「合理的配慮の提供の事例」として再構成するべきである。

  (6) 別紙【旅行業関係】2(2)③において、「障害がある利用者から・・・過剰な要求があったため、旅行業者として常識的に対応な可能な範囲を丁寧に説明し、過剰な要求を断る。」とする記載を削除するべきである。


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