人種等を理由とする差別的言動を禁止する法律の制定を求める意見書


icon_pdf.gif意見書全文 (PDFファイル;397KB)

2023年4月14日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日弁連は、2023年4月14日付けで「人種等を理由とする差別的言動を禁止する法律の制定を求める意見書」を取りまとめ、同月24日付けで、内閣総理大臣、法務大臣、衆議院議長、参議院議長、全国知事会、全国市長会及び全国町村会宛てに提出いたしました。

 

本意見書の趣旨

差別的言動を根絶するため、国に対し、以下の内容を含む、人種等を理由とする差別的言動を禁止する法律の制定を求める。


1 公然と、下記アの人種的差別を誘発、助長、扇動する目的でなされる言動であって、かつ、下記イの類型に該当するものを「人種等を理由とする差別的言動」と定義した上で禁止すること

  ア 人種的差別
「人種、皮膚の色、世系(被差別部落を含む。)、民族的若しくは種族的出身、国籍(以下「人種等」という。)に基づくあらゆる区別、排除、制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するもの」

  イ 人種等を理由とする差別的言動の具体的類型
以下の①から⑤のいずれかに該当するもの

   ① 特定の人種等に対して生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨の言動(例:○○人を皆殺しにしよう。)

   ② 特定の人種等に対して著しく侮辱(存在の否定を含む。)、又は、当該人種等を人以外のものに例えるなど、人種等の価値を否定若しくは価値の低いものとして扱う言動(例:○○人は人間ではなくゴキブリだ。)

   ③ 特定の人種等を社会から排除することをあおり立てる言動(例:○○人は日本から出ていけ。)

   ④ 虚偽の事実を摘示して特定の人種等が他者の生命、身体、財産等に対して危害を加えた、あるいは差し迫った危害を加えようとしている旨告知する言動(例:○○人が○○地域の井戸に毒を入れた。○○人が○○地域で略奪を繰り返している。)

   ⑤ 当事者の意に反して、特定の人種等、共通の属性であることを識別可能とする情報を摘示する言動(例:○○は、被差別部落出身だ。○○地域は被差別部落だ。)


2 「人種等を理由とする差別的言動」について、実態調査やネットモニタリング、根絶に向けた施策の提言、勧告、禁止命令や過料処分を行う専門機関を設置すること


3 専門機関が、勧告、禁止命令等を発出した後も命令に違反して再度同様の「人種等を理由とする差別的言動」を行う者に対して過料処分を科すこと


(※本文はPDFファイルをご覧ください)