文化審議会著作権分科会法制度小委員会報告書(案)に対する意見書


icon_pdf.gif意見書全文 (PDFファイル;174KB)

2023年1月20日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

2022年12月28日、文化庁は、「文化審議会著作権分科会法制度小委員会報告書(案)」に関する意見募集(パブリックコメント)を行いました。

 

日弁連は、2023年1月20日付けで、「文化審議会著作権分科会法制度小委員会報告書(案)に対する意見書」を取りまとめ、文化庁に提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 本報告書 Ⅱ.簡素で一元的な権利処理方策と対価還元について
著作物等の種類や分野を横断する一元的な窓口を創設し、分野横断権利情報データベースを活用した著作権者等の探索を行うとともに、著作権者等の所在や権利処理に関する意思が不明な一定の場合等に対応した新しい権利処理の仕組みを創設し、著作物等の利用を円滑かつ迅速に利用できるようにするという本報告書の方向性に賛成する。ただし、新たな制度の実施に当たっては、以下の点に十分配慮されるべきである。


  (1) 新制度の基礎となるデータベースは、新制度のみならず裁定制度にも利用することが検討されており、その構築及びその適正な管理・運営に対しては、その公益的な役割に鑑み、適切な公的支援が行われるべきである。


  (2) 時限的利用の公表に当たっては、単に著作物の題号や出典だけでなく、著作物の表現自体(言語の著作物であれば一定量の抜粋、写真・美術の著作物であればそのサムネイル画像等)によって著作物が特定されるべきであり、これに必要な範囲で著作物の公衆送信等を可能とする措置が必要である。
また、公表は、利用申請後速やかに行われ、時限的利用の終了後も継続されるべきである。


  (3) 利用料の基準設定に当たっては、権利者団体と利用者団体の意見を聞いて、幅広い分野の様々な利用形態ごとに適切かつ明確な利用料の基準を設けることが望まれる。


2 本報告書 Ⅳ.損害賠償額の算定方法の見直しについて
損害賠償額の算定方法の見直しとして、著作権法第114条について(本報告書Ⅳ)、特許法等の一部を改正する法律(令和元年法律第3号)と同様の見直しを行うことに基本的に賛成である。 ただし、著作権法第114条第1項について特許法第102条第1項と同様の見直しを行うに当たっては、具体的にどのような事例にライセンス料相当額の損害賠償(第3項の併用適用)を認めるのか意識した審議が望まれ、著作権侵害の損害賠償の特徴を踏まえて「侵害し得」にならないような制度を引き続き検討すべきである。


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