産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会「デジタル化に伴うビジネスの多様化を踏まえた不正競争防止法の在り方(案)」に対する意見書


icon_pdf.gif意見書全文 (PDFファイル;178KB)

2023年1月18日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

2022年12月14日、経済産業省は、「産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会「デジタル化に伴うビジネスの多様化を踏まえた不正競争防止法の在り方(案)」に関する意見募集を行いました。

 

これに対して、日弁連は2023年1月18日付けで、「産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会「デジタル化に伴うビジネスの多様化を踏まえた不正競争防止法の在り方(案)」に対する意見書」を取りまとめ、経済産業省に提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 本報告書(案)は、デジタル化の進展に伴う不正競争防止法の規律の見直しについての方向性を示すものであり、その基本的方向に賛成する。本報告書(案)の各論点については、以下のとおりである。


2 不正競争防止法2条1項3号に規定する形態模倣商品の提供行為にも「電気通信回線を通じて提供」する行為を追加する等の法改正を行うことは、メタバースとも呼ばれるデジタル空間における経済取引が活発化していることも踏まえると、妥当である。


3 不正競争防止法2条7項の「限定提供データ」に設けられている「秘密として管理されているものを除く」という要件を削除することは、営業秘密保護制度に加えて限定提供データ保護制度を設けた趣旨からすれば、両方の制度で情報の保護が図られるような管理が認められて然るべきであり、賛成する。


4 本報告書(案)が、渉外事件に係る国際裁判管轄及び不正競争防止法の適用範囲に関する制度を、立法措置が可能であれば整備しようとしていることについては、法体系的な整理をした上で、関係省庁との調整を進めるべきである。


5 不正競争防止法5条の損害賠償額の推定規定の要件を緩和し、かつ、令和元年の特許法等改正によって追加されたような損害賠償額の推定規定を設けることは、データの保有者の適切な救済につながるので、賛成する。


6 不正競争防止法5条の2の使用等の推定規定の適用範囲を拡充することは、不正競争防止法5条の2が裁判所において適用された事例が存在しない現状に照らして、基本的に賛成する。


7 営業秘密や限定提供データを対象とするライセンス契約のライセンシーの保護制度における措置の方法について関係省庁等と調整しつつ、引き続き検討を継続していくことに賛成する。


8 コンセント制度の導入に賛成するとともに、不正競争防止法に適用除外規定を設けることにも賛成する。

 


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