「消費者教育の推進に関する基本的な方針」の変更案に対する意見書
本意見書について
消費者庁は、2022年12月16日付けで「消費者教育の推進に関する基本的な方針」の変更案に関する意見募集を行いました。
これに対し、日本弁護士連合会は、2023年1月12日付けで意見書を取りまとめ、消費者庁に提出いたしました。
本意見書の趣旨
第1 消費者教育の推進と自己責任との関係について
消費者教育の推進による自立した消費者の育成の結果として、「自己責任」を理由に、消費者の権利を制限することがあってはならないことを基本方針に盛り込むべきである。
第2 関係官庁、関係部署の連携について
消費者教育に関連する教育との連携を進めるため、関係省庁、関係部署間の具体的な連携を実現する仕組みを基本方針に盛り込むべきである。
第3 学校教育と学習指導要領について
学習指導要領において行われる様々な教科学習は、いずれも消費者教育と結び付く要素を持ち得るものであり、かかる要素を意識して教科横断的・体系的な消費者教育を実践することが重要であること、学習指導要領では対応が追いつかない問題・事項については、国が情報を集約し、学校教育に適切に反映させるべきであることを基本方針に盛り込むべきである。
第4 大学等の学生が消費者被害に遭いやすい類型・手法について
大学等の学生に対し、積極的に提供する機会を拡大すべき消費者被害に遭いやすい類型・手法等の知識等として、就職セミナー商法、霊感商法に加えて「マルチ商法」を具体的に明示すべきである。
第5 全国ブロック協議会の開催について
全国ブロック協議会の積極的な開催に関する事項を基本方針に盛り込むべきである。
第6 消費者と事業者との関係について
消費者と事業者との関係については、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差があることを前提とし、消費者が、事業者から提供される情報や商品、サービスに対して批判的な思考をもって検討し、行動することについて萎縮させるような表現は修正又は削除すべきである。
第7 実施状況の把握、基本方針の見直しについて
基本方針の変更から3年以内、又は、遅くとも5年以内の間には、施策の実施状況をとりまとめ、基本方針の見直しについて検討することを基本方針に盛り込むべきである。
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