特定商取引法等の書面交付義務の電子化等に関する政省令案についての意見募集に対する意見書

2022年12月23日
日本弁護士連合会

本意見書について

日弁連は、2022年12月23日付けで「特定商取引法等の書面交付義務の電子化等に関する政省令案についての意見募集に対する意見書」を取りまとめ、同月26日付けで消費者庁取引対策課に提出しました。


本意見書の趣旨

1 本規則案第10条第1項は、消費者が電磁的方法により提供される事項を閲覧するために必要な電子計算機について、その映像面の最大径をセンチメートル単位で表した数値を2.54で除して小数点以下を四捨五入した数値が5以上(4.5インチ以上=11.43センチメートル以上)であるものとしているが、画面の最大径をタブレットの標準的なサイズである11インチ(27.94センチメートル)程度以上とするべきである。

2 電磁的方法による提供において、電子メールにより契約書面等を提供する場合や電子メールによりウェブページに掲載した旨を通知する場合は、消費者が書面を閲覧すること自体の重要性を認識できるような件名を表示するとともに、本文冒頭で、①契約を特定する事項(契約申込日・商品名・代金額・事業者名)、②添付した電子データが契約書面に代わる重要なものであること、③クーリング・オフの起算日の説明等を記載することを規定するべきである。

3 特定商取引に関する法律施行規則(以下「現行規則」という。)では、クーリング・オフの記載について、第6条第6項(本規則案・第7条6項)にて赤枠の中に赤字で記載しなければならないとし、また、第5条第3項(本規則案・第6条第3項)にて8ポイント以上の大きさの文字で表示するとしている。しかるに本規則案においては、当該規制は契約書面についてのみ適用されることになり、電磁的方法により提供される電子データについての同様の規定はない。電磁的方法により提供される電子データにおいても、赤字・赤枠で他の文字より大きなポイントで契約条項の冒頭に記載するなど、消費者が容易に認識できる方法で表示することを規定するべきである。

4 本政令案第4条3項及び本規則案第12条は、事業者は消費者に対し、電話、電子情報処理組織を使用する方法その他の方法で、電子データが消費者の電子機器に備えられたファイルに記載され、かつ、消費者が閲覧できる状態に置かれたことを確認するものと定めている。かかる規定は、書面の確認機能・警告機能・告知機能を果たすために重要な規定であり、評価できる。

5 本政令案第2条第1号においては、勧誘目的を告げずに電話をかけさせる方法として、新聞、雑誌その他の刊行物への掲載や、ラジオ放送、テレビ放送、ウェブページ等が追加されている。本規定は、現在の消費者被害の実態に鑑み、速やかに導入するべきである。

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