早期開示命令制度新設の立法提案

2022年7月15日
日本弁護士連合会


本立法提案について

日弁連は、2022年7月15日付けで「早期開示命令制度新設の立法提案」を取りまとめ、同月21日付けで法務大臣、最高裁判所長官宛てに提出しました。


本立法提案の趣旨

情報及び証拠の収集手段の拡充のため、民事訴訟法(平成8年法律第109号。以下「法」という。)に以下の内容の早期開示命令制度を新設することを提言する。


1 早期開示命令制度
次の(1)ないし(6)を内容とする早期開示命令の制度を導入する。

  (1)当事者は、訴訟関係を明瞭にするため又は争点及び証拠の整理を行うため必要があるときは、相手方又は第三者に対し当事者の主張と相当の関係を有する文書その他の物件(以下「物件」という。)を申立人へ開示することを裁判所に申し立てることができる。

  (2)裁判所は、前項の申立てがあったときは相手方又は第三者に対し、当該物件を申立人へ開示することを命ずることができる。
ただし、相手方又は第三者が(1)により開示を求められた物件を所持しないとき又は当該物件が法220条4号イないしホ(ただし同号ニ及びホについては第2の4(14)参照)に該当するときは、この限りでない。

  (3)裁判所は、前項の開示命令に先立って、当該申立てに係る物件の範囲、物件の探索に要する費用負担、秘密保護のための措置等について、当事者間で協議を行うことを命じることができる。裁判所は、(1)の申立ての相手方が第三者である場合には、本項の協議に当該第三者の参加を求めることができる。裁判所は、必要と認めるときは、本項の協議を主宰する。

  (4)裁判所は、(2)に基づく開示の期間を定めることができる。

  (5)当事者又は第三者が(2)の早期開示命令に従わないときは、裁判所は、申立てにより、決定で、過料に処する。この決定に対しては即時抗告をすることができる。

  (6)法223条(文書提出命令等)2項ないし6項の規定は、早期開示命令について準用する。


2 関連する改正
本改正提案は、行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)1条を勘案の上、同法2条に定める行政事件訴訟にも適用されるものであることについて疑義が生じないよう、必要な措置を講ずるものとする。 本改正提案を人事訴訟(人事訴訟法(平成15年法律第109号)2条)及び家事事件(家事事件手続法(平成23年法律第52号)1条)に適用するかどうかについては、引き続き検討を行う。


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