定款認証制度に関する意見書

2022年5月20日
日本弁護士連合会


本意見書について

現在、内閣府規制改革推進会議スタートアップ・イノベーションワーキング・グループは、スタートアップに関する制度(法人設立手続のデジタル完結等)を検討しています。
日弁連は、2022年5月20日付けで、「定款認証制度に関する意見書」を取りまとめ、内閣府に提出しました。


本意見書の趣旨

1 株式会社の定款認証制度について、デジタル技術による合理化・迅速化をし、もって、設立手続をより簡素化することには基本的に賛成をする。しかし、なりすましにより設立された株式会社が消費者詐欺犯罪等に使用される可能性に鑑み、不正な起業・会社設立の抑止やマネー・ローンダリング対策といった定款認証の機能が減殺されないようにデジタル完結については慎重に検討すべきである。


2 デジタル技術の活用により、会社法上の要件を満たす定款を具備することができる場合に、定款認証を不要とするという考え方については、多くの株式会社がこのようなルートを通じて設立されることとなり、公証人による面接を通じて、不正な起業・会社設立の抑止等を行う機能が減殺されることになるのではないかとの懸念から、反対する。


3 公証人による面前での自認の必要性については、マイナンバーカード及び電子証明書による確認では足りず、公証人の面前での自認は必要であると考える。よって、公証人の面前での自認を不要とすることには反対する。


4 定款認証の際の実質的支配者の申告制度は、FATF(Financial Action Task Force)からも一定の評価を得られている。定款認証制度を廃止することは、このような国際的な潮流に反することになると考える。


(※本文はPDFファイルをご覧ください)