「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第三次報告案)及び建築基準制度のあり方(第四次報告案)について」に関する意見書

2021年12月24日
日本弁護士連合会


本意見書について

日弁連は、2021年12月24日付けで「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第三次報告案)及び建築基準制度のあり方(第四次報告案)について」に関する意見書を取りまとめ、国土交通省が実施した意見募集への意見として、12月27日付けで国土交通省住宅局建築指導課宛てに提出しました。


本意見書の趣旨

1 報告案は、構造計算が義務付けられる木造建築物の範囲の拡大を検討しているが(報告案20頁23~25行目)、報告案の内容では、現行の4号建築物の多くが適用範囲に入らないため、現行の4号建築物全てについて構造計算を行うことを、建築基準法令において明確に義務付けるべきである。


2 仮に、同法20条1項4号イに定める基準(政令の仕様規定に適合すれば構造計算が免除されるもの)を残すのであれば、4号建築物に適用される仕様規定(同法施行令36条3項に基づき適用される36条から80条の3までの規定)の定める技術的基準を全面的に改め、構造計算を行った場合と同等以上の構造安全性を確保できるようにすべきである。

具体的には、報告案が省エネ対策として想定している木造住宅の仕様は、建築物の重量・高さが現状よりも増大する結果を招くため(報告案17頁19~22行目、同19頁27行目)、①要求値の見直し(垂直剛性を確保するために同法施行令46条4項による壁量計算を見直すこと等)、②建築物に応じた仕様を要求する技術的基準への改正(水平剛性を確保するために同法施行令46条3項において住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定に準ずる床倍率計算を導入すること等)、③欠如している技術的基準の追加(壁直下率・柱直下率、梁断面性状等に関する規定の新設等)の改正を行うことが必要不可欠である。


3 手続面において、同法6条1項4号所定の建築物につき建築確認手続及び中間検査・完了検査手続において構造安全性の審査及び検査の省略を認める同法6条の4第1項3号及び7条の5の特例(いわゆる「4号特例」。以下「構造審査省略制度」という。)に関して、報告案では、対象となる建築物の範囲の縮小が検討されているが(報告案20頁7~14行目)、端的に、全ての建築物について、例外なく構造安全性の審査及び検査を行うものとし、そのため建築確認申請時に構造関係の設計図書の添付を義務付けるべきである。


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