フランチャイズ取引の適正化に関する法律(フランチャイズ取引適正化法)の制定を求める意見書

2021年10月19日
日本弁護士連合会


本意見書について

日弁連は、2021年10月19日付けで「フランチャイズ取引の適正化に関する法律(フランチャイズ取引適正化法)の制定を求める意見書」を取りまとめ、同月20日付けで経済産業大臣及び公正取引委員会委員長に提出しました。


本意見書の趣旨

1 国は、フランチャイズ取引の健全な発展を図り、同時に加盟者が不当に不利益を受けることのないよう、早急にフランチャイズ取引の適正化に関する法律(フランチャイズ取引適正化法)を制定すべきである。


2 法律は、名称を問わず、いわゆるフランチャイズ・システムと言われる事業形態において、小売業(外食業を含む。)及びサービス業を主たる事業として営む中小企業基本法の定める規模の中小企業者を加盟者とする場合に適用されるものとし、以下の内容を含むものとすべきである。

  (1) フランチャイズ本部が加盟希望者に対して情報提供義務を負うことを明文化するとともに、労働人時を明確にした合理的な収益情報やドミナント出店のリスクに関する情報等の重要と考えられる事項につき、現行の中小小売商業振興法の情報提供制度の拡充を行い、かつ、情報提供義務違反の場合の加盟者の中途解約権や損害賠償請求権を定め、情報開示に関する規制の強化を図ること

  (2) フランチャイズ本部に、フランチャイズ契約の契約書ひな型及び事前に開示すべき書面の経済産業省への届出及びインターネット上での一般公開を義務付けること

  (3) 開業日から1か月間を初期事業撤退可能期間とし、加盟者が無条件で解約して返金を求められる制度を創設するとともに、返金を確実にするために加盟時支払金を公的な機関が預かる制度を創設すること

  (4) フランチャイズ契約において、加盟者に一方的に不利益な営業時間を定める条項、過大なロイヤルティを定める条項、加盟者の契約終了後の投資回収機会を奪う競業禁止条項、加盟者に正当事由がある場合の中途解約を妨げる条項、過大な違約金条項及び本部による正当事由のない中途解約又は更新拒絶を可能とする条項等のフランチャイズ・システムによる営業を的確に実施する限度を超える不公正な条項を不当条項として無効とすること

  (5) 加盟者が団体を設立する権利を保障し、フランチャイズ本部に、加盟者が団体を設立すること又は団体に加入することを妨げてはならないこと、団体に加入することを理由として加盟者を不利益に取り扱ってはならないこと、また、加盟者の団体に対して誠実に交渉に応じることを義務付けること

  (6) フランチャイズ本部が情報提供義務に違反した場合は、経済産業省が指示、是正措置命令、業務停止命令等の行政措置を採ることができることとし、これらに従わない場合は公表や罰則を科すことができることとすること

  (7) 公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」において、優越的地位の濫用に当たるものとして例示する行為(取引先の制限、仕入数量の強制、見切り販売の制限、営業時間の短縮に係る協議拒絶、事前の取決めに反するドミナント出店等、フランチャイズ契約締結後の契約内容の変更及び契約終了後の競業禁止)を禁止行為とし、フランチャイズ本部がこれらに違反した場合は、公正取引委員会が、指示、是正措置命令、業務停止命令等の行政措置を採ることができることとし、これらに従わない場合は公表や罰則を科すことができることとすること

  (8) フランチャイズ契約当事者間の紛争を専門的かつ迅速に解決するための紛争解決制度を創設すること




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