医療観察法における入院継続審判の必要的開催等を求める意見書

2021年7月16日
日本弁護士連合会


本意見書について

日弁連は、2021年7月16日付けで「医療観察法における入院継続審判の必要的開催等を求める意見書」を取りまとめ、7月21日付けで内閣総理大臣、厚生労働大臣及び法務大臣宛てに提出しました。



本意見書の趣旨

当連合会は、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(以下「医療観察法」又は単に「法」という。)が、精神障害者を隔離処遇する「保安処分」になりかねないとしてその成立に反対し、医療観察法成立後も、付添人としての活動を通じて「保安処分的運用」に一定の歯止めをかけるための取組を行ってきた。


また、2010年3月18日には、重大な他害行為を行った者を特別の医療により処遇する制度の廃止を求める立場に立った上で、当面不可欠な改善策を提案するとの観点から、退院請求や入院継続審判において必要的に期日の開催と付添人の選任を行うことを求める提言なども行ってきた。


しかし、今なお運用及び制度の抜本的改善がなされない中で、2016年12月、医療観察法に基づき入院継続確認の決定を受けた者の保護者から、同決定の際に審判期日が開催されず意見主張の機会も与えられないことが人権侵害に当たるとして、人権救済申立てを受けた。


そこで、改めて同申立事件において提起された問題に対して、適正手続保障の観点から速やかな改善を行うために、次のとおり意見を述べるものである。


医療観察法に基づき入院決定された対象者に関して、入院継続確認の申立て、退院許可の申立て又は医療終了の申立てがなされた場合に、審判期日を開催せず、付添人を選任せず、聴聞の機会も与えずに入院を継続させることは、適正手続に反して対象者の人身の自由を奪うものであり、憲法31条、自由権規約9条1項及び4項、障害者権利条約14条2項並びに91年国連原則17及び18に反する。したがって、医療観察法51条1項1号に定める入院継続確認等の決定をしようとする場合には、適正手続保障の観点から、審判期日の開催を必要的とするとともに、必ず付添人を選任し、対象者及び付添人に意見陳述の機会を与えるよう、医療観察法を改正すべきである。



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