「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」に対する意見書

2020年12月17日
日本弁護士連合会


本意見書について

文化審議会著作権分科会法制度小委員会において「図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する中間まとめ」が取りまとめられ、意見公募に付されました。


当連合会はこれに対する意見書を取りまとめ、2020年12月17日付けで文化庁に提出いたしました。


本意見書の趣旨

1 著作権法第31条第3項の改正に関する「入手困難資料へのアクセスの容易化」について、「送信対象資料の範囲等について現行の厳格な運用を尊重しつつ、利用者に直接インターネット送信することを可能とし、補償金制度は導入しないこと」とする中間まとめの結論に賛成する。

ただし、補償金制度の導入をせずに送信先拡大をする以上、将来の電子出版市場(潜在的市場)や権利者の利益等に悪影響を与えない形での厳格な運用が維持されることが必要である。また、送信サービスの対象となる著作物については、著作権者の申出による除外手続が認められるべきである。


2 著作権法第31条第1項第1号の改正(図書館資料の送信サービスの実施)については、個別の送信がなされるごとに権利者の逸失利益が補填できる水準の補償金が徴収される補償金制度を導入することを条件として賛成する。

中間まとめは、対象となる図書の範囲、送信サービスする著作物の一部要件の解釈について、「文化庁の関与の下、幅広い関係者(中略)及び中立的な第三者を交えて、ただし書に関する具体的な解釈・運用を示すガイドラインを作成する必要がある」 としているところ、ガイドラインの作成においては、市場に与える影響が軽微となるよう十分な配慮が必要である。また、紙の出版物の市場についても電子出版物の市場と同様に配慮されるべきである。

また、同様に、第1項第1号データの流出防止処置として、単に「利用者に対して著作権法の規定やデータの利用条件等を明示する」だけでは不十分であり、さらに不正な拡散を技術的に防止する措置を講ずることが望まれる。



(※本文はPDFファイルをご覧ください)