産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会報告書 「AI・IoT技術の時代にふさわしい特許制度の在り方-中間とりまとめ-(案)」に対する意見書

2020年7月2日
日本弁護士連合会


本意見書について

日弁連は、2020年7月2日付けで「産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会報告書 『AI・IoT技術の時代にふさわしい特許制度の在り方-中間とりまとめ-(案)』に対する意見書」を取りまとめ、特許庁に提出しました。


本意見書の趣旨

1 早期の特許紛争解決を図る新たな訴訟類型として、二段階訴訟制度の具体化に向けて検討を継続することに賛成する。


2 当事者本人への証拠の開示を制限する仕組みを設けることに賛成する。かかる仕組みを設けるに当たって、当事者の同意を要件とすることには反対する。仕組みの導入によって、訴訟において積極的に証拠が開示されるような形での制度設計を検討すべきである。


3 第三者意見募集制度の導入は、判決結果の妥当性の向上に資するものであり賛成である。今後、具体的な制度化に向け、個別の論点について議論を深めていくべきである。


4 代理人費用の敗訴者負担については、二重の弁護士報酬の負担を懸念して訴訟提起の萎縮効果をもたらすおそれがあること、敗訴時において相手方弁護士報酬を負担しなければならないとの懸念から、本来自由になされるべき当事者の訴訟追行及び解決方針の策定に影響が生じる等の弊害があるため、導入に強く反対する。


5 損害賠償制度に関し、利益吐き出し型賠償制度について今後も更なる議論を深めていくことに賛成する。利益吐き出し型賠償制度に関する議論に当たっては、様々な事情を勘案しつつ、利益吐き出し型賠償制度を新たに設けることの要否、意義、制度設計の在り方、適用要件(侵害者の主観的要件又は悪意性の要否)及び効果(覆滅を許すか、利益の概念)等について、具体的な事例等をも素材として、十分かつ慎重に検討すべきである。


6 訂正審判等における通常実施権者の承諾については、基本的な方向性として、訂正審判の請求又は訂正の請求における通常実施権者の承諾を不要とする方向で改正を検討すべきであり、今後、具体的な制度化に向け、個別の論点について議論を深めていくべきである。


7 差止請求権を直接制限する規定を特許法に設けることには賛否両論があり、差止請求権の制限の在り方については、引き続き議論をしていくべきである。


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