東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効期間を再延長する法改正を求める意見書

2020年3月18日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日本弁護士連合会は、2020年3月18日付けで「東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効期間を再延長する法改正を求める意見書」を取りまとめ、同月25日付けで内閣総理大臣、法務大臣及び文部科学大臣宛てに提出しました。


本意見書の趣旨

国は、「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成29年法律第45号)により改正された「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効等の特例に関する法律」(平成25年法律第97号)に関して、下記のとおり対応を行うべきである。



1  法律の改正
「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成29年法律第45号)により改正された「東日本大震災における原子力発電所の事故により生じた原子力損害に係る早期かつ確実な賠償を実現するための措置及び当該原子力損害に係る賠償請求権の消滅時効の特例に関する法律」(平成25年法律第97号)(以下「特例法」という。)第3条を改正し、民法第724条第1号の時効期間を「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」から20年とし、同条第2号及び同法第724条の2の規定は適用しないものとすべきである。

具体的には、特例法第3条の規定を「特定原子力損害に係る賠償請求権に関する民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百二十四条の規定の適用については、同条第一号中『三年間』とあるのは『二十年間』とし、同条第二号の規定は適用しない。この場合においては、同法第七百二十四条の二の規定は、適用しない。」と改正すべきである。


2  改正施行5年後見直しの検討
前項の改正法施行から5年経過後に、損害賠償の実施状況等を踏まえ、時効期間の更なる延長を含めた見直しを検討すべきである。


3  情報提供体制の強化
特例法第1条に規定する「特定原子力損害の被害者」が、「特定原子力損害に係る賠償請求権」の消滅時効の期間までに賠償の請求をすることを促すために、同法第2条に規定する「情報提供体制」を更に強化すべきである。



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