金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」報告の「第2章 金融サービス仲介法制」についての意見書

2020年2月20日
日本弁護士連合会

  

本意見書について

日本弁護士連合会は、2020年2月20日付けで「金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」報告の「第2章 金融サービス仲介法制」についての意見書」を取りまとめ、2月20日付けで内閣府特命担当大臣(金融)、金融庁長官宛てに提出しました。


本意見書の趣旨

国は、新たな横断的金融サービス仲介制度の創設に当たって、以下の点に留意すべきである。


1 制度整備に当たっては、顧客保護のために十分な規律を確保すべきである。現行制度の顧客保護水準を確保するとともに、横断的なサービス提供や技術の進展による新たなリスクに適切に対応し得る制度とすべきである。


2 業務範囲について、以下の点に留意すべきである。

  • (1) 取扱可能な商品・サービスを、商品設計が複雑でないもの、日常生活に定着しているものに限定することに賛成する。ただし、その具体的内容は、顧客保護の趣旨に従って、適切に定められるべきである。
  • (2) 仲介行為として、「代理」は認めないことに賛成する。ただし、「媒介」について、現行の解釈・運用を前提としつつ、新たな技術的な展開を踏まえて、対象となる行為を明確化すべきである。

3 参入規制について、新たな仲介業者に保証金の供託を求めることに賛成する。ただし、保証金の額は、顧客の損害賠償請求の充足に十分な水準のものとすべきである。


4 行為規制について、以下の点に留意すべきである。

  • (1) 業務運営に関する体制整備義務について、仲介を行う分野にかかわらず共通して求めていくことに賛成する。ただし、その具体的内容は、現行制度において各仲介業者に求められている水準を確保すべきである。
  • (2) 顧客情報の適切な取扱いに関し、分野間、兼業業務間、グループ会社等の間の情報利用・提供について、顧客の同意を得ない利用・提供を禁止することに賛成する。ただし、顧客の同意の取得に当たっては、顧客が、対象情報の内容、情報共有の範囲、利用方法等について具体的な認識の下で同意を行うことを確保すべきである。
  • (3) 仲介業者の中立性確保のために、顧客の求めに応じて手数料等の開示を求めること、及び、委託関係・資本関係の有無等仲介業者の立場の顧客への明示を求めることに賛成する。ただし、開示や明示を求める事項は、仲介業者の経済的なインセンティブに影響を及ぼし得る事項を広く対象とすべきである。
  • (4) 説明義務について、適合性原則を踏まえた適切な説明等を求めること及び契約締結に至る一連の過程において、金融機関・仲介業者のいずれかが十分な説明を行えば足りることとすることに賛成する。ただし、情報提供が全体として適切なものとなるよう、金融機関・仲介業者間において適切な役割分担、相互確認、相互牽制が確保されるべきである。
  • (5) 「機能」ごとの特性に応じた規制について、必要なルールを過不足なく適用することに賛成する。ただし、その具体的内容については、原則として現行制度の水準が確保されるべきである。

5 新たな仲介業者に係る協会を設け、自主規制の整備等を求めることに賛成する。ただし、新たな協会においても、現行の各自主規制団体の水準を確保するとともに、横断的なサービス提供や技術の進展による新たなリスクを踏まえた対応を促していくべきである。



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