衆議院情報監視審査会平成30年年次報告書に関する意見書

2019年11月21日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日弁連は、2019年11月21日付けで「衆議院情報監視審査会平成30年年次報告書に関する意見書」を取りまとめ、同月22日付けで、内閣総理大臣、法務大臣、衆議院議長、参議院議長、衆議院情報監視審査会委員、参議院情報監視審査会委員、独立公文書管理監及び内閣府公文書管理委員会委員長に提出しました。


本意見書の趣旨

衆議院及び参議院の情報監視審査会(以下「両院情報監視審査会」という。)は、毎年、特定秘密の指定・解除及び適性評価の運用状況に関し、報告書を議長に提出することとされている。


参議院情報監視審査会の平成30年年次報告書はいまだに提出されていないが、衆議院情報監視審査会は、2019年3月26日、平成30年年次報告書(以下「平成30年報告書」という。)を提出した。
 

特定秘密の保護に関する法律(以下「秘密保護法」という。)は、国民主権の基盤である知る権利を侵害し、憲法に違反することから、当連合会は同法の廃止を求めてきた。
 

当連合会は、同法の廃止を重ねて求めているが、その廃止までの間は、平成30年報告書を踏まえ、以下のとおり秘密保護法の運用を見直すことを求めるとともに、特定秘密に関わる公文書管理の在り方についても意見を述べる。


1 特定秘密に指定される情報と特定秘密とはカテゴリーが異なる「極秘」、「秘」等の秘密情報との違いを明確化するとともに、「極秘」、「秘」等の指定で足りる情報が特定秘密に指定されることがないよう、運用を徹底すべきである。


2 特定秘密に該当し得る情報を収集する過程において、意図せずこれと無関係の個人情報を入手してしまった場合は、個人情報保護の観点から、速やかにかつ確実に廃棄するよう、政府における厳格な対応指針を作成し、その周知徹底を図るべきである。


3 特定秘密を記録する行政文書(以下「特定秘密文書」という。)の保存期間は1年以上とし、その保存期間の定め方について、明確な基準を設けるべきである。


4 内閣府独立公文書管理監が情報保全監察室及び公文書監察室両室の室長となる体制を改め、公文書監察室の長となる独立した新たな職を創設し、両室が独立してそれぞれの機能を果たすことができるよう、体制を強化すべきである。


5 両院情報監視審査会における調査の実効性を確保するため、衆議院情報監視審査会規程及び参議院情報監視審査会規程に、特定秘密の提出又は提示の要求のための採決要件を緩和した明文の規定(例えば委員2名以上の賛成)を置くべきである。また、両院情報監視審査会は、運用上必要があれば、行政機関に対して、特定秘密だけでなく、これに関連する行政秘密、行政情報の提供を随時求めることができる旨を運用基準に明記するように求めるべきである。



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