第14回国連犯罪防止刑事司法会議における京都宣言に含めるべき事項に関する意見書

2019年4月18日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日弁連では、2019年4月18日付けで第14回国連犯罪防止刑事司法会議における京都宣言に含めるべき事項に関する意見書をとりまとめ、2019年5月16日に国連薬物犯罪事務所(UNODC)に提出しました。


本意見書の趣旨

当連合会は、2020年に開催される第14回国連犯罪防止刑事司法会議(以下「コングレス」という。)の参加国代表に対して、コングレスにて採択予定の京都宣言に、以下の内容が含まれるよう求める。


1 人権、法の支配及び法化社会の文化促進並びに持続可能な開発と調和した刑事司法を維持し、発展させるために、刑事司法の重要な担い手である弁護士の役割が不可欠であることを再確認し、そのために以下の目標に取り組む。


(1) 第8回コングレスで採択された「弁護士の役割に関する基本原則」(以下「基本原則」という。)を、全ての国の刑事司法における最低限の基準として遵守すべきことを、全ての国がその司法を始めとする機関に改めて周知させる。


(2) 国際法曹団体及び各国の弁護士会との協議の下で、基本原則が国内で遵守されることを確保するための国際的なメカニズムを検討する。


2 前項の弁護士の役割を果たすための弁護士会その他の弁護士専門家団体の役割の一つが、弁護士に対する不適切な制約又は侵害に対して、その構成員を守りまた防御するものであること、及びそのような弁護士会その他の弁護士専門家団体の役割が国内法によって保護されるべきであることを含む内容に、基本原則を拡張する。


3 国連の「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(以下「2030アジェンダ」という。)を刑事司法分野において実現するため、以下の目標に取り組む。


(1) 罪を犯した者が社会復帰できる社会の実現を国の責務とする。


(2) 全ての刑事施設において、国連被拘禁者処遇最低基準規則(以下「マンデラ・ルールズ」という。)を遵守した被拘禁者の処遇を実現する。


(3) 刑務所における強制労働を廃止する。


4 国際社会において、可及的速やかに死刑制度が廃止されるべきである。また、死刑制度が廃止されるまでの間、死刑の執行停止がなされるべきである。


5 犯罪のない安心して暮らせる社会をつくるため、教育と社会のあらゆる部門における効果的な市民参加を奨励し、以下の事柄に取り組む。


(1) 具体的な課題や問題について、人権、法の支配といった法的な価値に照らした対話と議論を通じて考えさせる啓発的なプログラムを策定し、法化社会の文化を促進すること。


(2) 対話と地域参加の仕組みを通じて社会的紛争を調整・解決するための教育実践を促進すること。
       

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