衆議院情報監視審査会平成29年年次報告書に関する意見書

2018年10月23日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日弁連は、2018年10月23日付けで「衆議院情報監視審査会平成29年年次報告書に関する意見書」を取りまとめ、同月30日付けで、内閣総理大臣、法務大臣、衆議院議長、参議院議長、衆議院情報監視審査会委員、参議院情報監視審査会委員、独立公文書管理監及び内閣府公文書管理委員会委員長に提出しました。


本意見書の趣旨

衆参各院の情報監視審査会は、毎年、特定秘密の指定・解除及び適性評価の運用状況に関し、報告書を議長に提出することとされている。


参議院情報監視審査会の平成29年年次報告書はいまだに提出されていないが、衆議院情報監視審査会は、2018年3月28日、平成29年年次報告書(以下「平 成29年報告書」という。)を提出した。


特定秘密の保護に関する法律(以下「秘密保護法」という。)は、国民主権の基盤である知る権利を侵害し、憲法に違反することから、当連合会は同法の廃止を求めてきたところ、平成29年報告書により、秘密保護法の問題点が改めて浮き彫りにされた。


当連合会は、同法の廃止を重ねて求めるとともに、その廃止までの間は、平成29年報告書を踏まえ、以下のとおり秘密保護法の運用を見直し、又は関係法令を改正することを求める。


1 特定秘密文書の保存期間は1年以上とし、その保存期間の定め方について、明確な基準を設けるべきである。


2 特定秘密文書は、保存期間満了後の廃棄を認めるべきではなく、原則として全てを国立公文書館等に移管しなければならない旨の規定を公文書管理法等に定めるべきである。


3 いわゆる「あらかじめ指定」や職員の知識としてのみ存在する特定秘密の指定等、行政文書不存在の特定秘密指定はできる限り行うべきではない。


4 作成から30年を超える行政文書を特定秘密文書として保有している場合又は今後保有しようとする場合には、独立した公文書の管理を行う機関が審査を行う等の厳格な手続を課す措置がとられるべきである。


5 特定秘密の内容を示す名称はできる限り具体的な名称とし、文書内容と整合するよう運用されるべきことに加え、特定秘密の内容を示す名称の付け方につき、統一方針が定められるべきである。


6 両院情報監視審査会は、特定秘密の提示要求を活用する等の方法により、特定秘密の指定が適正になされているかをより積極的に調査すべきである。


7 政府は、情報監視審査会報告書において指摘された事項については、明確な期限を設けて対応状況を公表すべきである。



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