地方自治法等の一部を改正する法律案中「地方公共団体の長等の損害賠償責任の見直し及び権利放棄議決」に関する意見書

2017年5月2日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日弁連は、2017年5月2日付けで「地方自治法等の一部を改正する法律案中『地方公共団体の長等の損害賠償責任の見直し及び権利放棄議決』に関する意見書」を取りまとめ、同日付けで総務大臣、衆議院議長、参議院議長、衆議院総務委員会委員及び参議院総務委員会委員に提出しました。

 

本意見書の趣旨

「条例において、長や職員等の地方公共団体に対する損害賠償責任について、その職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、長等の職員の損害賠償責任額を限定して免除することを可能」とする住民訴訟制度の改正にあたり、免除に関する参酌基準及び免除下限額は、住民訴訟制度がもつ違法な財務会計行為に対する是正効果や抑止効果が減殺されることがないように設定するべきである。



議会の議決による地方公共団体の長や職員等、第三者に対する損害賠償請求権や不当利得返還請求権の放棄について、監査委員の意見を聴かなければならないこととされているが、監査委員が意見を適正に述べることができるよう、最高裁判決(最判平24・4・20)に示されたような考慮すべき事項を法定し、これが考慮された過程を住民に明らかにすべきである。


そして、住民訴訟の係属中は、放棄しなければならない特段の事情がない限り、議会の議決による放棄を禁止すべきであり、判決確定後において、必要な考慮事項を考慮した上で議決する制度とすべきである。


 

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