「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」の改正(案)に対する意見書

2017年5月1日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日本弁護士連合会は、2017年5月1日付けで「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」の改正(案)に対する意見書(案)を取りまとめ、公正取引委員会に提出しました。

 

本意見書の趣旨

当連合会は、「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」の改正(案)に対して、以下のとおり意見を述べる。

1 「はじめに」(1~3頁)について
垂直的制限行為についての独占禁止法上の適法性を判断するに当たり、一定の事業上の必要性・合理性を考慮する必要があることを明記すべきである。

2 「はじめに 2」(2頁)について
改正案は、垂直的制限行為についての考え方を生産財・資本財と消費財との双方について一律に適用する扱いとしているが、そのような扱いとした理由を明記すべきである。

3 インターネット取引(4~5頁、9頁、26~27頁、35~37頁、48頁)について
インターネットを利用した取引に関する垂直的制限行為について、その取引の特殊性を踏まえた考え方を、別の項目において一括して提示すべきである。

4 第1部3「垂直的制限行為に係る適法・違法性判断基準」(8~10頁)について
垂直的制限行為に係る適法・違法性を判断する基準となる要素について、その適用の具体例を記載しつつ、これらの要素をどのように適用し、判断するかについても明記すべきである。

5 第1部3(2)イ「価格維持効果が生じる場合」(12頁)について
価格維持行為の定義において、非価格制限行為の相手方とその競争事業者に対しても同一の事業者から同様の制限がなされていることを要件とすべきである。

6 第1部3(4)「市場における有力な事業者」(16頁)について
 「『市場における有力な事業者』によって当該行為が行われた場合に不公正な取引方法となるものがある。」に改めるべきである。

7 審判決例や相談事例集における事例について
限界事例についても、記載すべきと思われる。

8 第2部「取引先の選択」(52頁)について
第1部における「取引先の選択」と、第2部におけるそれとを区別した基準を明確にし、別項目を設ける以上、第1部の「取引先の選択」とどのような違いがあり、したがって別個の分析が必要である理由を明確にすべきである。


 

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