不動産登記規則の一部改正(案)に関する意見書

2017年1月20日
日本弁護士連合会

  

本意見書について

2016年12月22日付けで意見募集された「不動産登記規則の一部改正(案)」に対し、日本弁護士連合会は、2017年1月20日付けで意見書を取りまとめ、同月25日付けで法務省に提出いたしました。

 

意見の詳細はPDFのとおりです。

 

本意見書の趣旨

1 不動産登記規則を改正して「法定相続情報証明制度」(以下「本制度」という。)を新設することにより、相続登記の促進を図るという不動産登記規則の一部改正目的自体に異論はない。

 

2 しかし、不動産登記規則の一部改正(案)(以下「本改正案」という。)で示された本制度においては、本制度をより利用しやすくし、相続登記促進の効果を上げ、更に各種の相続手続においても活用し得るようにするために、次の(1)ないし(3)についての改善及び(4)ないし(6)についての検討が行われるべきである。

 

(1) 法定相続情報一覧図の写しの交付の申請を可能とする場合としては、当該情報に係る保管等の申出人(以下「申出人」という。)が申出時点の交付又は再交付を求めるときに限定せず、少なくとも本改正案で申出人として認められている者は、広く法定相続情報一覧図の写しの交付を得られるようにすること。

 

(2) (1)の前提として、保管等の申出先については、被相続人の本籍地又は住民票上の最後の住所地を管轄する登記所に限定するなど、専属的な管轄を定めておくこと。

 

(3) (1)の前提として、先にされた保管等申出の情報を、容易に調査・検索できるシステムを整備しておくこと。

 

(4) 申出人及び法定相続情報一覧図の写しの交付の申請権者の範囲は、法定相続人及び再転相続人に制限せず、法令上戸除籍謄本等の交付申請等ができる者も加えることを検討すること。

 

(5) 法定相続情報一覧図の任意的記載事項として被相続人及び相続人の本籍を加えることも検討すること。

 

(6) 本制度の創設によって、誤った相続手続を生じさせるおそれがないか、証明書自体及び保管等申出に際して提出を求める裏付資料の有効期間を定めておく必要がないかについても検討すること。また、法定相続情報一覧図に誤りが発見された場合や、相続発生後に推定相続人の廃除や死後認知等によって法定相続情報に変更があった場合など、先行する申出に係る法定相続情報一覧図の訂正・変更の必要が生じた場合の手当についても検討すること。

 

3 相続登記促進のためには、一般市民の登記申請についての動機付け(メリット・デメリット等)や周知措置、関連士業へのアクセスの改善、登記費用のコスト負担の問題等、更に総合的な解決策が検討されるべきである。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)