不当景品類及び不当表示防止法施行規則(案)及び不当景品類及び不当表示防止法第8条(課徴金納付命令の基本的要件)に関する考え方(案)に対する意見書

 

2016年2月18日
日本弁護士連合会

 

 

 

本意見書について

当連合会は2016年2月18日、「不当景品類及び不当表示防止法施行規則(案)及び不当景品類及び不当表示防止法第8条(課徴金納付命令の基本的要件)に関する考え方(案)に対する意見書」を取りまとめ、同年2月22日に消費者庁長官宛てに提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 規則案第7条第2項の内容は、「十五日を経過するまでの期間」との期間設定の点を含め適切と考えられるが、同項ただし書の「当該期間内に資料を提出しないことについて正当な事由」については、指針案の中で具体例を挙げる等して、その範囲を厳密に限定すべきである。

  

2 規則案第10条第2項第1号の「実施予定返金措置の対象となる者が当該実施予定返金措置の内容を把握するための周知に関する事項を示す書類」に記載される「周知の方法」については、規則案の中で顧客名簿その他により当該事業者が顧客情報を把握できる場合は個別通知を行うことを定めるべきである。
また、これは課徴金減額の根拠となる返金に関する手続であるため、手続の透明性と公平性・公正性を確保する必要があることから、当該事業者が顧客情報を把握していない場合は、対象となる消費者の領収証・カード取引履歴・契約書・見積書等、その他手段の如何を問わず、当該消費者が不当表示の対象製品・役務等の購買者であることを客観的に確認できる資料から認定することを、指針案の中に明記すべきである。

  

3 指針案「第2 優良・有利誤認表示」の「2」の「(2)優良・有利誤認表示の意義等」の末尾、4頁5行目以下の「表示上の特定の文言、図表、写真等から一般消費者が受ける印象・認識ではなく、表示内容全体から一般消費者が受ける印象・認識が基準となり」との部分には、さらに消費者被害として具体的に問題となりがちなケースの具体例として、①「当該製品・役務の優良・有利な情報のみを強調し、一般消費者の判断に影響を与える重要事項に関する不良・不利な情報を告げない結果として、表示全体として消費者の自主的かつ合理的な選択の機会を奪うおそれのある場合」、②「個別に分断して考えると、当該製品・役務の内容について虚偽事実を告げている訳ではないが、表示全体の一般消費者に与える印象として明らかに誤導を生ずる蓋然性が認められる場合」等を挙げておくべきである。

  

4 指針案「第3 課徴金対象行為」(4頁)において、「協定又は規約(以下「公正競争規約」という。)に沿った表示など」は「課徴金対象行為は成立せず」としているが、公正競争規約に沿った表示に関しては「原則として課徴金対象行為は成立せず」という表現に留めるべきである。

  

5 指針案「第4 課徴金額の算定方法」の「1」の「(2)『課徴金対象行為をした期間』」の部分(6頁)において、課徴金対象行為を「やめた日」に該当する日につき、複数のメディアを通じて不当表示を行っていた場合には、その全てについて不当表示を中止しなければ、「やめた日」に該当しないことを明記すべきである。

  

6 指針案「第5 『相当の注意を怠つたものでないと認められる』か否か」のうち、16頁の「したがって、例えば、事業者が、公正競争規約に沿った表示のように」として、「課徴金の納付を命ずることはない。」としている部分は、「原則として課徴金の納付を命ずることはない。」との表現に留めるべきである。

  

7 指針案「第5 『相当の注意を怠つたものでないと認められる』か否か」の「1 『相当の注意を怠つた者でないと認められる』」(17頁)については、「当該表示の根拠となる情報を確認するなど」(同4行目)を「当該表示の根拠となる情報を客観的資料に基づいて確認するなど」とし、さらに「かかる確認行為を経ていない限りは、例えば、単に納入業者が行った表示を信頼したに過ぎないとか、同業他社が同一内容の不当表示を行っていたというような事情は免責理由とならない」ことを明記すべきである。

  

8 指針案「第5 『相当の注意を怠つたものでないと認められる』か否か」の「2 『課徴金対象行為をした期間を通じて』」の第3段落、「知った後に速やかに課徴金対象行為を取り止めなかったとき」(18頁)との記述の意味について、これに追加して「例えば、事業者の内部関係者による報告や公益通報、あるいは外部者からの指摘等により不当表示に該当するような疑いが生じた場合に、これら指摘を無視して必要な調査を行わなかったような場合(調査・確認義務の懈怠)には、相当な注意を怠った者でないと認められない。」と具体例を追加すべきである。

 

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