「平成26年金融商品取引法等改正(1年以内施行)等に係る政令・内閣府令案等」に関する意見書

2015年3月12日  
日本弁護士連合会


 

本意見書について

当連合会は、「平成26年金融商品取引法等改正(1年以内施行)等に係る政令・内閣府令案等」に関する意見書を2015年3月12日付けで取りまとめ、同年3月13日に、金融庁において実施しているパブリックコメントへの意見として提出しました。

 

本意見書の趣旨

111 電子募集取扱業務における映像面上の表示等について(金商業等府令第146条の2)

(1) 投資者に見やすい重要事項の表示等を求める金商業等府令第146条の2第1項ないし第4項の定めに賛成する。ただし、同条の2第2項において「最も大きなものと著しく異ならない大きさで表示するものとする」との定めを、「最も大きなものと著しく異ならない大きさで、映像面において特に見やすい箇所に表示するものとする」とすべきである。

(2) 同条において、表示を求める金商業等府令第83条第1項第6号トの「顧客の注意を喚起すべき事項」の具体的内容として、非上場株式及びファンドの投資商品としての特性及びリスクの具体的内容を金商業等府令又は監督指針において定めるべきである。

(3) 金融商品取引業者は、電子募集取扱業務において有価証券の取得の申込みを受ける前に、投資者が金融商品取引法第37条の3第1項第5号、金商業等府令第82条第3号及び第5号並びに第83条第1項第6号トに定める事項について理解していることを確認すべき旨の定めを、金商業等府令第146条の2の第5項として置くべきである。

 

2 発行者の財務状況、事業計画等の審査等について(金商業等府令第70条の2第2項)

(1) 電子募集取扱業務を行う者等の体制整備を求める金商業等府令第70条の2第2項の定めに賛成する(ただし、(3)に述べる点を除く。)。特に、同項第2号において、「発行者の財務状況、事業計画の内容及び資金使途その他電子申込型電子募集取扱業務等の対象とすることの適否の判断に資する事項の適切な審査(…応募額の目標として設定した金額…が発行者の事業計画に照らして適当なものであることを確認することを含む。)を行うための措置」を求める定めは、政府案の定めが維持されるべきである。

(2) 発行者の財務状況、事業計画等の審査については、ガイドラインを定めるなどの方法により、その内容を具体化すべきである。

(3) 応募代金の払込み後の発行者の顧客に対する情報提供を確保するための措置(金商業等府令第70条の2第2項第6号)としては、金融商品取引業者のウェブサイト上に、当該情報を掲載することを求めるべきである。

 

3 発行者の財務状況等の審査に関する記録及び電子募集取扱業務において投資者に表示される事項を記載した書面の作成・保存等について(金商業等府令第157条及び第181条)

(1) 帳簿書類について、発行者の財務状況等の審査に関する記録及び電子募集取扱業務において投資者に表示される事項を記載した書面の作成・保存を求める金商業等府令第157条第1項第18号及び第181条第1項第5号に賛成する。ただし、各「ロ」の定めにおいて「…事項を記載した書面」との定めは、「…事項が記載されたものとして電子募集取扱業務の相手方に表示された映像面の記録」とすべきである。

(2) 金商業等府令第157条第1項第18号及び第181条第1項第5号の書類の保存期間は、10年とすべきである(金商業等府令第157条第2項及び第181条第2項)。

(3) 帳簿書類の国内での保存等を求める金商業等府令第157条第3項及び第181条第4項に賛成する。

(4) 金商業等府令第157条第1項第18号及び第181条第1項第5号の書面については、投資者による閲覧謄写を認める定めを、金商業等府令第157条第4項及び第181条第5項として設けるべきである。

 

4 電話や対面による勧誘の禁止について(金商業等府令第117条第1項関連)

(1) 第1種少額電子募集取扱業者及び第2種少額電子募集取扱業者には、電話や対面による勧誘が認められないこと、及び電話や対面により取得の申込みを受けることが認められないことを金商業等府令第117条第1項の禁止行為として定めることにより、明確化すべきである。

(2) 第1種金融商品取引業者及び第2種金融商品取引業者についても、金融商品取引法第29条の2第1項第6号に該当する電子募集取扱業務については、金商業等府令の規定において電話や対面による勧誘を禁止すべきであるが、少なくとも監督指針において、自主規制や社内規定に電話や対面による勧誘の禁止について適切な定めを置くことを求めるべきである。

 

5 投資者が払い込む額の算定方法について(金商業等府令第16条の3)

(1) 金商業等府令第16条の3第2項第4号として「同一の種類の有価証券で二組以上の募集又は私募が同一の発行者により並行して行われ、かつ当該有価証券の募集又は私募を開始する日前1年以内に同一の発行者により当該有価証券と同一の種類の有価証券の募集又は私募が行われた場合において、これらの募集又は私募の係る有価証券に対する個別払込額を合算する方法」を付加すべきである。また、発行価額の総額の算定方法についての同条の3第1項にも同様の規定を付加すべきである。

(2) 一人の投資者に募集又は私募の取扱いができる件数や金額に、上限を設けることを検討すべきである。

 

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)