「パーソナルデータの利活用に関する制度改正に係る法律案の骨子(案)」に対する意見書

2015年2月19日  
日本弁護士連合会


 

本意見書について

当連合会は、2015年2月19日の理事会で「パーソナルデータの利活用に関する制度改正に係る法律案の骨子(案)」に対する意見書を取りまとめ、同年2月23日に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部本部長(内閣総理大臣)、副本部長(情報通信技術(IT)政策担当大臣、内閣官房長官、総務大臣、経済産業大臣)、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、特定個人情報保護委員会委員長宛てに提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 「個人情報の定義の拡充」について
指紋データや顔認識データなどの身体の一部の特徴を符号化したものや、携帯電話番号や旅券番号などの個人ごとに割り当てられた符号は、これまで、個人情報に該当するか否かが明確ではなかったが、その取扱いによってはプライバシーに重大な影響を及ぼす可能性がある。こうした情報について、プライバシー保護の観点から規制を設けることには賛成である。


ただし、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)の個人情報の定義を拡充してこれに対応する場合には、個人情報の有効な利活用を不当に阻害しないよう、政令でその対象を具体的かつ明確に規定するなどの措置を講ずるべきである。


2 「匿名加工情報(仮称)に関する規定の整備」について
匿名加工情報についても、プライバシー保護のための規制を講ずる必要があるが、個人情報保護法に規定を新設して対応する場合には、個人情報の有効な利活用を不当に阻害しないよう、規制対象を明確にすべきである。その上で、匿名加工データを作成する目的、データの項目、データの提供先を本人に知らせる又は本人が容易に知り得る状態に置くという規制を設けるとともに、提供先についても個人情報保護委員会への届出を義務付けるなどの方策を講ずるべきである。


3 「利用目的の制限の緩和」について
個人情報の利用目的の変更については、原則として、本人への通知を必要とする現状の規制を残しつつ、それが困難な場合について、個人情報保護委員会規則で個別に例外を定める等の方策を講ずるべきである。また、個人情報を取得する際に特定した利用目的から大きく異なる利用目的に、本人が十分に認知できないような方法で変更されることとならないようにするための実効的な規律を設けるべきである。


4 「第三者提供に係る確認及び記録の作成の義務付け」について
名簿業者に対する規制については、別に立法措置を講ずるなど、引き続き検討を行うべきである。


5 「情報の利用方法からみた規制対象の縮小」について
取り扱う個人情報が少量である場合の個人情報取扱事業者からの除外規定を削除するのであれば、過剰規制にならないための代替措置を講ずる必要がある。


6 「開示等請求権の明確化」について
自己の情報をどのような第三者に提供したのかについても開示請求権があることを明記すべきである。


7 「個人情報保護委員会の新設及びその権限に関する規定の整備」について
個人情報保護委員会を新設するに当たっては、十分な規模の人的及び物的な資源を投入すべきである。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)