日米地位協定に関する意見書

 2014年2月20日
 日本弁護士連合会


 

本意見書について

当連合会は、この度、日米地位協定に関する意見書をとりまとめ、2014年3月5日付けで外務大臣に、同月10日付けで防衛大臣に、同月11日付けで内閣総理大臣及び米国大使館に提出しました。

 

本意見書の趣旨

「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「安保条約」という。)」及び「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(以下「地位協定」という。)」は、1960年(昭和35年)1月に締結され、同年6月に発効した。


地位協定は、安保条約6条が、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」、米軍は日本における「施設及び区域を使用することを許される」と定めたことを受けて、施設・区域(米軍基地)の提供の在り方及び米軍・軍人等・その家族の法的地位を定める条約として締結されている。


地位協定は、安保条約反対運動という激動の中で締結されたことから、充分な検討・国会審議を経ることなく、1951年9月に締結された旧安保条約下で締結されていた行政協定をそのまま引き継ぐ形で締結されたという歴史事情を背負っている。そのため、以下に指摘する種々の問題(不平等性、不合理性)を内在させていると同時に、その解釈・運用につき、日米両政府の密約の影響を強く受けている。


地位協定の問題は、日米両国間の問題であるだけでなく、国民の生活・人権、国土の環境保全・有効利用に直結するものであることから、国民的な問題となっており、米軍基地が所在する地方公共団体から、地位協定の抜本的見直しが求められている(全国30の都道府県に米軍基地が存在する)。


当連合会は、上記事情を踏まえ、弁護士法第1条に定める「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」弁護士等からなる団体として、「基地被害」で基本的人権を侵されている人々の被害回復、そして被害防止のため、地位協定のうち特に重要だと思われる以下の7点について、地位協定の改訂の方向性に対する意見を表明するものである。


 (1) 施設及び区域の提供と返還(地位協定2条関係)
 (2) 米軍等に対する日本法令の適用と基地管理権(同3条関係)
 (3) 環境保全・回復等の問題(規定の新設)
 (4) 米軍艦船・航空機等の出入・移動(同5条関係)
 (5) 航空交通(同6条関係)
 (6) 米軍人・軍属らの刑事責任(同17条関係)
 (7) 米国・米軍人・軍属・家族らの民事責任(同18条関係)

 


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