原子力損害賠償紛争審査会中間指針第四次追補についての意見書

 2013年12月20日
 日本弁護士連合会


 

本意見書について

日弁連は、2013年12月20日付けで「原子力損害賠償紛争審査会中間指針第四次追補についての意見書」を取りまとめ、文部科学大臣、原子力損害賠償紛争審査会委員に提出しました。
 

本意見書の趣旨

原子力損害賠償紛争審査会による中間指針第四次追補において、住居確保に係る損害については、従来所有していた不動産の価値と新規に取得する住居の確保に要する費用との差額についても賠償する案が示されており、この点は評価し得るものであるが、避難費用及び精神的損害については、重大な問題があることから意見を述べる。

 

1 避難費用及び精神的損害について


(1) 生活費の増加費用を除いた精神的損害賠償額の総額の上限について、既に支払済の額を含めて1人当たり1000万円から1400万円を目安とすることには説得力のある十分な根拠があるとはいえず、明らかに不適切なものであり、長期の避難の多大な精神的苦痛と故郷・コミュニティを失うことに対応した、十分な賠償が必要であること。


(2) 他所に住宅を確保したとしても、その時点において、避難費用の支払いを打ち切ることは相当ではなく、被害実態を踏まえて避難費用の支払いを継続すること。


(3) 避難指示解除準備区域の実情からみて、当面の目安ではあっても、避難費用及び精神的損害の賠償を避難指示解除から1年以内に打ち切るとすることも相当ではなく、継続的に賠償がなされるよう、同「目安」を撤回すること 。


2 住居確保に係る損害


(1) 費用発生前の賠償について、「移住の蓋然性が高いと客観的に認められる場合」はもちろん、その場合以外でも、予防原則の観点に立って「移住を希望することに合理性が認められる場合」には、広く、十分な賠償がなされるような指針を策定すること。その場合には、東京電力の対応に委ねることのないようにすること。


(2) 避難指示解除準備区域につき、賠償の対象を「移住等をすることが合理的であると認められる者」はもちろん、予防原則の観点に立って「移住を希望することに合理性が認められる場合」には、広く、十分な賠償を行うこと。


(3) 宅地に関する追加費用について、一定の算定方法に限定することなく、個別の事情等に対応し得る複数の合理的な算定方法を指針に明記すること。

(※本文はPDFファイルをご覧ください)