死刑制度に関する政府の世論調査に対する意見書

   2013年11月22日
   日本弁護士連合会


 

本意見書について

当連合会は、「死刑制度に関する政府の世論調査に対する意見書」を取りまとめ、2013年12月4日に安倍晋三内閣総理大臣、2013年12月11日に谷垣禎一法務大臣に提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 当連合会は、死刑のない社会が望ましいことを見据え、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかけており、その一環として、死刑制度に関する政府の世論調査について、社会調査の専門家から意見を聴取するなどして検討を重ねた結果、本意見書をまとめたものである。


2 質問内容について
(1) 死刑制度に関する主質問「死刑制度に関して、このような意見がありますが、あなたはどちらの意見に賛成ですか。」の回答選択肢を、以下の(旧)から(新)に改めるべきである。
    (旧)① どんな場合でも死刑は廃止すべきである
          ② 場合によっては死刑もやむを得ない
          ③ わからない・一概に言えない
    (新)① 死刑は廃止すべきである
          ② どちらかと言えば、死刑は廃止すべきである
          ③ わからない・一概に言えない
          ④ どちらかと言えば、死刑は残すべきである
          ⑤ 死刑は残すべきである


(2) 死刑制度に関する主質問の各回答のサブクエスチョンに、死刑の代替刑として終身刑(仮釈放のない無期懲役刑)を導入することが、死刑存廃の意見に影響を与えるかどうかを把握するための質問を加えるべきである。
具体的には、死刑廃止反対者に対して、「死刑の代替刑として終身刑を導入すれば、死刑を廃止してもよいと思いますか。」という趣旨の質問を加えることなどが考えられる。


3 世論調査の結果の評価について
近時の世論調査の回答回収率が3分の2程度である上、性・年齢層・地域別の回収率に大きな差異があり、回収標本は、母集団(全国の20歳以上の者)の縮図とは言い難い。したがって、世論調査の結果を国民の意見として一般化すべきではない。
また、世論調査の結果の評価に当たっては、主質問のみならず、サブクエスチョンの回答内容をも総合的に分析する必要がある。したがって、2009年(平成21年)に行われた政府の世論調査における、将来的にも死刑制度を支持する回答者の割合は、サブクエスチョンで「状況が変われば、将来的には、死刑を廃止してもよい」と考えている者を除外した約56%と評価すべきである。


4 マイクロデータの公開
プライバシーには配慮しつつ、個々の回答票等のマイクロデータを誰もが利用できるように積極的に公開していくべきである。


 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)