「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」の改正に向けた意見書

   2013年11月22日
   日本弁護士連合会


 

本意見書について

日弁連は、2013年11月22日付けで「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」の改正に向けた意見書を取りまとめ、11月27日付けで内閣総理大臣、内閣府特命担当大臣(男女共同参画)及び厚生労働大臣宛てに提出いたしました。

 

本意見書の趣旨

1 男女賃金格差の解消のために

現行均等法第6条の差別禁止に「賃金」を加えると同時に,第2項に「同一価値労働同一賃金の原則」を明記し,均等法上も性別による賃金差別禁止を明確にすべきである。

 

2 間接差別の禁止

均等法第7条が規定している「厚生労働省令で定める」間接差別の限定列挙を廃止すべきである。

 

3 実効性のある積極的差別是正措置

(1) 均等法第14条を改定し,同条各号に定める措置については,事業主への 積極的差別是正措置の義務付け規定とすべきである。

 

(2) 積極的差別是正の措置義務の違反については,均等法第29条の報告徴収,助言・指導及び勧告,第30条の公表,第33条の過料の制裁の対象とすべきである。

 

4 禁止規定違反の効果・救済制度・制裁等

(1) 禁止規定違反の有無に関する立証責任の明記
均等法に規定を設け,統計上男女に格差が生じている場合には,事業主がそれが差別的取扱いによるものでないことを反証する責任を負わせるべきである。

 

(2) 禁止規定違反の効果の明記
均等法に規定を設け,差別禁止規定に違反した場合の法的効果を明記すべきである。

 

(3) 自主的解決のための苦情処理機関の義務付け
均等法第15条について,募集及び採用に関する差別やセクシュアル・ハラスメント,ポジティブ・アクションに関しても対象とするとともに,設置が努力義務とされている苦情処理機関について,一定範囲の事業主に対してはその設置を義務付けるべきである。また,第15条改定に伴い,第16条も必要な改定をする。

 

(4) 男女雇用平等委員会による救済制度・制裁規定の新設
均等法第2章第2節(第18条以下)の調停制度を廃止し,独立した行政委員会である男女雇用平等委員会(以下「平等委員会」という。)の設置による救済制度を新設するべきである。

 

(5) 違反に対する制裁

① 平等委員会による調査を拒否し若しくは虚偽の回答をした事業主に対し,  企業名・違反行為の公表の他,国・地方公共団体に対する公共融資・入札参加の停止・制限の勧告,公共職業安定所に対する一定期間の求人不受理・紹介停止の勧告等の制裁規定を設けるべきである。

② 平等委員会による差別是正命令に違反した事業主に対しては,過料ないし罰金の制裁規定を設けるべきである。

③ 均等法第29条第1項について,厚生労働大臣による報告の求め,指導,勧告に従わなかった場合,その旨の公表の他,過料の制裁の対象とすべきである。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)