いわゆる健康食品の表示・広告規制の在り方についての意見書
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2013年11月22日
日本弁護士連合会
本意見書について
当連合会は、2013年11月22日に本件について意見を取りまとめ、11月26日に、消費者庁長官、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、内閣府特命担当大臣(規制改革)、内閣府消費者委員会委員長、厚生労働大臣、規制改革会議議長へ提出いたしました。
本意見書の趣旨
規制改革会議は、2013年6月5日、127項目の改革方針を盛り込んだ答申をまとめて、安倍晋三内閣総理大臣に提出し、これを受けて同月14日、「規制改革実施計画」が閣議決定された。この中で、健康医療分野の個別措置事項の一つとして「一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」が挙げられ、いわゆる健康食品の機能性表示について規制緩和の方向性が示された。しかし、いわゆる健康食品の表示・広告については、むしろ適切な規制が必要と考えられる。そこで、次のとおり意見を述べる。
1「一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」に対する意見
(1)「いわゆる健康食品をはじめとする保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物の機能性表示の容認」について
いわゆる健康食品の機能性表示を可能とする仕組みを新たに創設すべきではない。
(2)「特定保健用食品制度におけるサプリメント等の形状規制の廃止の周知徹底」について
上記措置を行うにあたっては、サプリメント型の食品の特殊性(味や香り、食感を楽しむ嗜好機能という食品としての基本的機能をもっておらず、生態調節機能に特化していること)に鑑み、その許可にあたっては、慎重な対応が必要であることが周知徹底されるべきである。
(3)「食品表示に関する指導上、無承認無許可医薬品の指導取締りの対象としない明らかに食品と認識される物の範囲の周知徹底」について
上記措置を行うにあたっては、形状から明らかに食品と認識される物であっても、保健機能、栄養成分機能が表示・広告されている場合は、明らかに食品と認識される物には該当しないことを周知徹底させるべきである。
(4)「消費者にわかりやすい表示への見直し」について
上記措置を行うにあたっては、保健機能食品について適切な摂取だけでなく、健康状態により摂取を控えることも促すべきである。また、表示の方法については、消費者が過大な機能を期待するなど誤解しそうな表示は変更するべきである。また、広告についても、許可された表示を超える内容の広告を規制するルールが早急に策定されるべきである。
(5)「特定保健用食品の許可申請手続きの合理化、迅速化」について
上記措置を行うにあたっては、手続の合理化、迅速化に関し、有効性・安全性の確認の正確性が担保されるよう留意すべきである。
(6)「栄養機能食品の対象拡大」について
上記措置を行うにあたっては、科学的根拠が確実なものに厳選すべきである。
2 いわゆる健康食品の広告の適正化に関する意見
(1)健康増進法第32条の2第1項で定められている広告禁止の範囲について
健康増進法第32条の2第1項で定められている広告禁止の範囲を、次のとおり変更すべきである。
①同条第1項の健康増進効果等には、医薬品の効能効果の広告を含まないことを明記すべきである。
②同条第1項の健康増進効果等について、事実に反する広告、その効果について科学的な確証のない広告を禁止すべきである。
③保健機能食品以外の食品について、保健機能食品と紛らわしい名称、栄養成分の機能及び特定の保健の目的が期待できる旨の広告を禁止すべきである。
(2) いわゆる健康食品に対する広告規制の執行力の強化について
いわゆる健康食品に対する広告規制の執行力の強化のため、①不実証広告規制、②適格消費者団体の差止請求権を健康増進法に導入すべきである。そして、②の差止請求権の実効性を確保するため、適格消費者団体と関係機関との協力体制を整備し、適切な予算措置を講じるとともに、事業者が合理的根拠を示す資料を提出しない場合は表示違反があったものとみなす立証責任軽減規定を置くべきである。
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