私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する意見書

 2013年8月23日
 日本弁護士連合会


 

本意見書について

当連合会は、2013年8月23日付けで「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する意見書」を取りまとめ、2013年8月28日に、内閣総理大臣、各政党代表者、衆議院議長、参議院議長、公正取引委員会委員長、経済産業大臣、法務大臣宛てに提出しました。

 

本意見書の趣旨

第1 本改正案本文について

 

  1. 第52条第1項「公正取引委員会の認定した事実を立証する証拠」について「公正取引委員会が認定した事実を立証する証拠」を、「公正取引委員会が認定した事実を基礎付けるために必要な証拠及び公正取引委員会の認定事実を基礎付ける証拠の証明力の存否を判断するために重要な証拠」に修正すべきである。
  2. 第52条第1項において閲覧謄写の対象が当該当事者・その従業員の供述調書等に限られている点閲覧を認める全証拠について、謄写を認めることを原則とすべきである。
  3. 第52条第2項の閲覧謄写に係る当事者の請求本改正案第52条第2項の「求めることを防げない」の文言を「求めることができる」に修正すべきである。
  4. 第58条第1項において調書作成の対象が「当事者の陳述の要旨」とされている点 原則として陳述の全てを記載することとすべきである。
  5. 第58条第5項において調書及び報告書の「閲覧」のみが可能とされている点閲覧だけでなく謄写も可能とすべきである。
  6. 事前説明調書及び指定職員の報告書の係属裁判所への移送(送付)について事前説明調書及び指定職員の報告書は、係属裁判所への移送(送付)がなされるように規定されるべきである。
  7. 執行免除手続について現行法第70条の6第1項及び第2項は、本改正案においても、第67条の2として維持されるべきである。

 

第2 本改正案附則について

 

本改正案附則第16条は、「政府は、公正取引委員会が事件について必要な調査を行う手続について、我が国における他の行政手続との整合性を確保しつつ、事件関係人が十分な防御を行うことを確保する観点から検討を行い、この法律の公布後1 年を目途に結論を得て、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずるものとする」と定めている。

当連合会は、同附則を、以下のとおり修正することを提案する。

「政府は、公正取引委員会が事件について必要な調査を行う手続について、我が国における他の行政手続との整合性を確保しつつ、事件関係人が十分な防御を行うことを確保する観点から検討を行い、この法律の公布後1 年を目途に結論を得て、必要があると認めるときは、供述録取の際の弁護士の同席制度及び弁護士依頼者間秘匿特権制度等の所要の措置を講ずるものとする。さらに、独占禁止法の執行をより実効性のあるものにするため、民事的救済制度を強化する観点から検討を行い、この法律の公布後1 年を目途に結論を得て、必要があると認めるときは、文書提出命令制度の強化、差止訴訟の抜本的強化並びに差止め及び損害賠償訴訟の団体訴権の導入等の所要の措置を講ずるものとする」

(※本文はPDFファイルをご覧ください)