クレジットカード取引等の適正化実現のため割賦販売法の改正を求める意見書

 2013年7月19日
 日本弁護士連合会


 

本意見書について

当連合会は、2013年7月19日付けで「クレジットカード取引等の適正化実現のため割賦販売法の改正を求める意見書」を取りまとめ、同年7月23日に経済産業大臣、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、消費者庁長官宛てに提出しました。

 

本意見書の趣旨

 1 包括信用購入あっせん取引(割賦販売法第2条第3項)が、悪質商法の決済手段として利用されないために、以下のように、割賦販売法(以下「法」という。)を改正し、クレジットカード取引の適正化を実現すべきである。


(1)現行の割賦販売法では、クレジットカード取引について規制する包括信用購入あっせんの規制対象取引につき、「当該利用者が当該販売業者から商品若しくは権利を購入する契約を締結し、又は当該役務提供事業者から役務の提供を受ける契約を締結した時から二月を超えない範囲内においてあらかじめ定められた時期までに受領することを除く」と定義し(法第2条第3項第1号)、決済期間が「二月を超えない範囲」のクレジットカード取引(以下「マンスリークリア方式」という。)が同法の適用対象から全面的に除外されているが、かかるマンスリークリア方式のクレジットカード取引についても、①苦情発生時の加盟店調査義務(法第30条の5の2、省令第60条)及び加盟店情報報告制度(法第35条の20、省令第135条)、②未払い金の支払拒絶に関する抗弁の接続(法第30条の4)、③弁済金の支払請求時の書面交付義務(法第30条の2の3第3項)の規制を及ぼすべく割賦販売法を改正するべきである。


(2)抗弁の接続(法第30条の4)等の規制対象となるための条件として必要とされる取引金額(法第30条の4第4項の「支払総額」及び法第30条の5第1項の「現金販売価格又は現金提供価格」)について、同法施行令で定める「4万円以上」「3万8000円以上」という条件(政令第21条第1項、第2項)に関し、同一月内の同一販売店等における「反復継続する取引」の合計額をもって「支払総額」又は「現金販売価格又は現金提供価格」とみなすことができるよう法律及び政令で明示するなどの改正をすべきである。


(3) クレジット会社の加盟店調査義務を適正に履行すべく、弁済金の支払請求時の書面交付義務(法第30条の2の3第3項)をリボルビング方式に限定することなく、支払方法を問わずクレジットカード取引全体に適用することができるようにするとともに、消費者に対する情報提供を徹底するため、法第30条の2の3による書面交付義務の書面記載事項として「取引商品・役務・販売業者・役務提供業者」を追加するよう法律・省令を改めるべきである。


(4) クレジット会社が、苦情発生時の加盟店調査義務(法第30条の5の2)を懈怠した状態において、不正なクレジット取引を締結した場合には、既払金返還義務を課すなど、加盟店調査義務を実効性のあるものとすべく、改めるべきである。


2 クレジット制度に関与する決済代行業者の割賦販売法上の法的位置付けを明確化するとともに、決済代行業者に対しても、加盟店(枝番加盟店)調査義務を課すように、割賦販売法を改正すべきである。


3 クレジット会社が、消費者との間に生じた苦情・紛争に関して、積極的に解決に向けた必要な体制を整備し、適切に処理・対応することについて努めるべきことを法制度化すべきである。
そして、消費者保護のために、チャージバック制度の十分な活用が期待されることから、その存在を広く消費者に告知して、その積極的活用を促す等の措置を講ずるべきであるとともに、現在のチャージバック制度においては対象とすることが困難な消費者被害についても、チャージバック制度の活用により消費者被害救済を可能とするように、チャージバックルールを制定するように指導すべきである。


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