水俣病問題の総合解決に関する緊急提言

 2013年6月27日
 日本弁護士連合会


 

本提言について

水俣病公式確認から57年が経過したにもかかわらず、いまだに水俣病問題は解決していません。水俣病患者救済のための抜本的な解決策も示されず、水俣病患者に対する補償も不十分なままです。



折しも、2013年4月16日、最高裁判所は、「公害健康被害の補償等に関する法律」(以下「公健法」という。)上の水俣病認定申請を棄却された患者が司法に認定義務付けを求めた訴訟において、「水俣病患者として認定せよ」との請求を認める判決を言い渡しました。



日弁連は、環境省に対し、水俣病の現行の認定基準である「昭和52年判断条件」を改定して、恒久的な患者救済システムを構築するよう再三にわたって提言してきましたが、前記最高裁判決により司法判断が確定したことから、改めて下記のとおり水俣病問題の総合解決に関する緊急提言をとりまとめ、2013年6月27日付けで、環境大臣、熊本県、鹿児島県、新潟県に提出しました。

 

本提言の趣旨

環境省は、熊本県、鹿児島県、新潟県と協力して、以下の措置を執るべきである。



1  昭和52年判断条件を改定し、現行の症候の組合せを要求する基準を撤廃して、感覚障害のみの一症候であっても、患者の居住歴や魚介類の摂取状況、家族の認定の有無等総合的に考慮して水俣病と認定するという基準に改めること。



2  過去の認定審査に関して、感覚障害という一症候しか認められない場合についても、「総合的判断」により水俣病として認定された例が存在するか否かについて検証し、その検証結果を発表すること。



3  水俣病の認定補償制度については、すべての水俣病被害者を対象とし、公健法上の認定補償制度に基づいた一元的な救済システムに改定すること。



4  不知火海沿岸全域及び阿賀野川下流地域の住民の健康調査及び居住歴、魚介類の摂食状況、家族の認定申請の有無に関する実態調査を実施すること。



5  上記の点が実施され、かつ全ての水俣病被害者の救済が終了するまでは、特措法12条の事業会社の株式の譲渡手続は全て凍結し、同7条1項4号の「補償法に基づく水俣病に係る新規認定等」は終了しないものとすること。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)