死因究明推進を目的とした検案・解剖等の制度確立に関する提言
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意見書全文(PDFファイル;61KB)
2013年4月19日
日本弁護士連合会
本意見書について
日弁連は、2013年4月19日付けで「死因究明推進を目的とした検案・解剖等の制度確立に関する提言」を取りまとめ、2013年4月22日に、内閣総理大臣、内閣府死因究明等推進計画検討会議座長、厚生労働大臣、文部科学大臣、警察庁長官に提出しました。
本意見書の趣旨
「死因究明等推進計画」を策定するに当たっては、死因究明制度が、生者の基本的人権(生命権や生存権)の尊重を基礎としており、公平性・適正性・透明性を持ったものとして確立されなければならないという観点から、少なくとも、次のような具体的方策が定められなければならない。
1 死因究明を行う中立的・専門的な第三者機関の全国的な整備について、次の4点に立脚した具体的な計画を早急に策定すべきこと。
(1) 各都道府県に支部を設置し、国家予算で運営すること。
(2) 警察及び法務省から独立した組織とすること。
(3) 組織に所属し又は嘱託を受けた専門の医師らが、検案・解剖等を決定・実施すること。
(4) 法律専門家が積極的に関与する仕組みとすること。
2 死因究明の鍵となるべき法医学研究の基盤が極めて貧弱であることに鑑み、国家の政策として、法医学研究者の養成を充実させる具体的方策を策定すること。
3 死因究明・身元確認のためのデータベースの整備の是非・方法等については、病歴・疾病、DNA型・歯科所見等が個人のプライバシー情報である上、データベースの整備が生者に対する捜査手法や捜査以外の利用にも拡大するおそれが懸念されるため、個人のプライバシー権(自己情報コントロール権)保護の観点から、慎重に検討しなければならないこと。
4 死因究明のためになされた活動の結果について、遺族その他の利害関係人に対し、適切な情報開示がなされるよう、制度が整えられるべきこと。
また、遺族が解剖を要求した場合には、原則として解剖が行われるよう態勢を整えること。
5 刑事施設、留置施設、少年刑事施設、入管収容施設などの拘禁施設内において被拘禁者が死亡した場合、全ての死亡例について、死因究明を行う中立的・専門的な第三者機関が、(法律専門家が関与して)検案・調査等を行うとともに、死因不明、虐待のおそれなど死因究明の必要がある場合は、解剖等により徹底的に調査するよう制度を整備すること。
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