電磁波問題に関する意見書

2012年9月13日
日本弁護士連合会







 

本意見書について

日弁連は、2012年9月13日付けで「電磁波問題に関する意見書」を取りまとめ、同年9月19日に環境大臣、経済産業大臣、厚生労働大臣及び同年9月20日に総務大臣宛に提出いたしました。

 

本意見書の趣旨

1 新たな安全対策の創設
国は、電磁波の安全対策の在り方について調査、研究し、人の健康及び環境を保護するために、「電磁波安全委員会(仮称)」を新たに設置し、以下の内容を含む立法及び組織作りを行うべきある。


(1)組織の内容
「電磁波安全委員会(仮称)」は、中立・公平な立場から電磁波に対する安全対策を行うために、業界を所管する省庁から独立した組織とし、その構成員は、関連企業からの利益供与の有無及び内容を明らかにした上で、電磁波の健康影響に関して見解を異にする様々な立場から選任すべきである。



(2)暫定的規制の実施
電磁波に関する安全対策のために、予防原則に基づいて、幼稚園、保育園、小学校、病院等が存在する地域をセンシティブエリアと指定し、他の地域より厳しい基準を設けることを検討すべきである。


(3)電磁波放出施設に関する手続規制と情報開示


①携帯電話中継基地局等の電磁波放出施設を新設する場合、当該基地局周辺の住民に対する説明を行った上、新設することの是非について住民との協議を行う制度の実現を図るべきである。


②住民が携帯電話中継基地局等の電磁波放出施設の場所を知ることができるための情報公開の制度を設けるべきである。



2 実態調査
(1)国は、電磁波の健康被害に関する研究がいまだに不十分であることを踏まえ、関連
企業からの利益供与の有無及び内容が公開され研究者により、公正に構成された調査・研究機関を設置し、以下の調査及び分析を行うべきである。


①高圧電線の近くに居住する住民や、携帯電話中継基地局周辺に居住する住民の健康被害についての実態調査の実施。


②携帯電話の使用頻度と健康被害との実態調査の実施。


③電力会社や携帯電話事業会社等、強い電磁波の曝露を受けている企業に勤務する労働者について、職業曝露と健康被害についての実態調査の実施。


(2)以上の実態調査の結果で新たな科学的知見が得られた場合には、国は、電磁波の規制値を見直すべきである。



3 電磁波過敏症対策
国は、電磁波過敏症の方々がいることを踏まえ、人権保障の観点から、公共の施設及び公共交通機関にはオフエリアを作る等の対策を検討するべきである。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)