被疑者取調べの録音・録画試行の検証に関する要望書

 2012年5月15日
日本弁護士連合会


 

本要望書について

日弁連は、法務省が2012年4月5日に公表した「検察改革の進捗状況」に関連し、同月11日、「検察改革の進捗状況」についての日弁連コメントを発表していますが、近く法務省が取りまとめることになっている被疑者取調べの録音・録画に関する試行の検証について、2012年5月15日付けで「被疑者取調べの録音・録画試行の検証に関する要望書」をとりまとめ、法務大臣及び検事総長に提出しました。

 

本要望書の趣旨

現在、検察改革の一環として実施されている、特別捜査部・特別刑事部における被疑者取調べの録音・録画の試行、裁判員裁判対象事件における取調べの録音・録画の試行的拡大、知的障がいによりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等に対する取調べの録音・録画の試行についての検証及び検証結果の公表に当たって、以下の点を要望する。


  1. 検証担当者には、供述心理学者及び当連合会が推薦する弁護士を含む、法務省・検察庁に所属していない第三者を加えること。


  2. 検証結果の公表に当たっては、以下の事項についても明らかにすること。

    (1) 録音・録画の試行がなされた各事例における身体拘束前の取調べ実施の有無及び実施されている場合は取調べ回数、取
       調べ時間
    (2) 録音・録画につき被疑者に対して行った告知の内容
    (3) 被疑者が録音・録画の実施に難色を示した場合に、録音・録画の下で供述をするよう説得を行ったか否か、また、説得を行
       った場合はその内容
    (4) 被疑者が録音・録画を拒んだ事案について、録音・録画がなされていない状況で実施された取調べにおける被疑者の供述
       内容及び作成された供述録取書の記載内容(その概要)
    (5) 「全過程」試行のより具体的な基準


  3. 検証結果の公表後、法務省・検察庁に所属せず、守秘義務を負う第三者によって試行結果を再度検証する機会を設けるとともに、再度の検証に際しては、担当者の求めに応じて、録音・録画記録や被疑者の供述録取書等、録音・録画の試行の対象となった事件の内容や被疑者の供述経過を明らかにする資料を開示すること。

(※本文はPDFファイルをご覧ください)