災害関連死に関する意見書

2012年5月11日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

日弁連は、2012年5月11日付けで「災害関連死に関する意見書」を取りまとめ、復興大臣、内閣府特命担当大臣(防災)、厚生労働大臣等に提出いたしました。
 

本意見書の趣旨

1 被災地の自治体は、災害弔慰金の支給等に関する条例における「災害関連死」には、災害と死亡の間に直接的なつながりが認められる場合だけでなく、災害がなければその時期に死亡することはなかったと認められる場合が含まれることを広く住民に明示するとともに、弔意の趣旨に沿って、できる限り広い認定がなされるよう適正に運用すべきである。



国は、適正な運用がなされるよう、この認定基準を被災地の自治体に対し周知するべきである。



2 被災地の自治体は、市町村及びその委託を受けて県に設置された災害弔慰金支給審査委員会における審査を迅速化し、審査が容易な件については申出から2か月以内に決定し、審査が困難で十分な事実調査を必要とする件又は不認定とする件についても6か月程度で判断を行うことを目安に審査体制を整えるべきである。



3 被災地の自治体の判断基準が明確ではなく、出訴期間に関する教示が十分でなかったことに鑑み、被災地の自治体は、過去に不支給と判断した事例についても必要に応じて積極的に再審査を行うべきであり、裁判所は、不支給決定に対する取消訴訟において出訴期間を経過した場合の正当事由(行政事件訴訟法第14条1項ただし書)につき柔軟な解釈をすべきである。



4 国及び被災地の自治体は、被災地の住民及び全国の避難者に対し、災害弔慰金制度と災害関連死には災害と死亡の間に直接的なつながりが認められる場合だけでなく、災害がなければその時期に死亡することはなかったと認められる場合が含まれること及びその具体的な該当例を積極的かつ分かりやすく広報するとともに、震災直後から現在に至るまでに死亡届の提出がなされた全ての方の遺族に、遺族の心情に十分に配慮した内容の災害関連死の制度と申出に関する具体的な案内を個別に発送し、疑問を感じる事案については積極的に災害関連死の審査の申出又は弁護士会や日本司法支援センターへの相談を促すように周知をするべきである。 


(※本文はPDFファイルをご覧ください)