宅地被害者の救済及び予防のための法改正等を求める意見書
- 意見書全文(PDFファイル;86KB)
2012年3月15日
日本弁護士連合会
意見書について
日弁連は、2012年3月15日付けで「宅地被害者の救済及び予防のための法改正等を求める意見書」を取りまとめ、2012年3月29日付けで、国土交通大臣、各政党、都道府県知事、政令指定都市市長及び各種関連団体に提出しました。
意見書の趣旨
当連合会は、東日本大震災による宅地被害者の救済及び今後の被害予防のため、以下の事項の実現を求める。
1 宅地被害者の救済のため、
(1) 国及び被災地の地方自治体に統一的な被災者相談窓口を設置し、宅地被害者が、現行制度における被害救済の内容、他の被災地での運用実態等について分かりやすい説明と情報提供を受けられ、統一的かつ継続的な相談ができる体制を構築し、被災者が容易にアクセスできるよう周知・徹底すること。
(2) 宅地被害者が、生存権の基盤である安全な宅地ひいては住居を再び確保し、生活再建を図れるよう、被災者生活再建支援法の対象に住宅のみならず宅地も加えるとともに、被災宅地の再造成・是正、買取り、移転に対する公的助成、及び税制上の優遇措置等の制度を拡充・創設すること。
2 宅地被害の予防のため、
(1) 国が作成しているハザードマップにつき対象範囲を拡大し、より迅速な完成を図ること。
(2) 地盤の許容応力度・土質等の性状、過去の土地形状・利用状況等の土地の性状に関わる来歴情報、及びハザードマップ掲載情報を始めとする各種災害を想定した地形情報につき、宅地建物取引業者が説明義務を負う重要事項の項目として明文化し、宅地購入者らに正確な情報を伝えること。
(3) 住宅建築に当たって、近隣の地盤に関する情報資料等により不要とされる場合を除き、設計者及び施工業者に敷地の地盤調査(貫入試験)の実施・報告を義務付け、仮に物理的な制約等から貫入試験を実施できない場合には、代替措置を執った上で、貫入試験を実施しないことによって生じる危険性について、建築主に十分に説明することを義務付けること。
(4) 宅地防災マニュアルを法制化するなど宅地の安全性の技術基準を定め法制化すること。
3 現在及び将来の宅地被害に関する民事的救済のため、宅地被害における「不法行為の時から二十年」(民法第724条後段)につき、「損害の全部又は一部の発生」によって損害が顕在化した時を起算点と解すべきことを内容とする注意的規定を盛り込んだ特別法を制定し、不法行為の認識可能性が存しない状況の下で消滅時効又は除斥期間が成立することのないようにすること。
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