東京電力福島第一、第二原子力発電所事故における避難区域外の避難者及び居住者に対する損害賠償に関する中間指針追補についての意見書

2011年12月16日
日本弁護士連合会


意見書について

日弁連は、2011年12月16日付けで「東京電力福島第一、第二原子力発電所事故における避難区域外の避難者及び居住者に対する損害賠償に関する中間指針追補についての意見書」を取りまとめ、文部科学大臣等に提出いたしました。

 

意見書の趣旨

1 原子力損害賠償紛争審査会は、「中間指針追補(自主的避難等に係る損害について)」で定めた自主的避難等対象区域の対象となる市町村の選定基準を明らかにするとともに、同区域から除外された福島県の県南地域や福島県外の放射線量の高い地域からの避難者に対する賠償についても早急に検討すべきである。



2 同中間指針追補で示された損害額は、避難者及び滞在者の置かれている深刻な被害の現状に鑑み、低額に過ぎるので、被害実態の調査・検討を踏まえ、より高い金額に改めるべきである。



3 原子力損害賠償紛争審査会は、子ども及び妊婦について、2012年(平成24年)1月以降についても賠償の指針を早急に策定すべきである。



4 東京電力株式会社は、自主的避難等対象区域外からの避難による損害についても、上記中間指針追補に従って個別具体的な検討を行い、少なくとも福島第一原子力発電所から80km圏内となる部分がある市町村及び3か月当たり1.3mSvを超える放射線が検出された地域からの避難によって生じた損害については、賠償を行うべきである。また、中間指針追補で示された以外の損害項目の損害や目安額を超える損害についても、かかる損害の発生について立証がなされた場合には、これに対して賠償を行うべきである。



5 原子力損害賠償紛争解決センターは、自主的避難対象区域以外からの避難に関する紛争及び今回示された以外の損害項目の損害や目安額を超える損害賠償を求める紛争の和解の仲介についても、上記の中間指針追補の趣旨を踏まえ、迅速かつ適切な内容の被害者救済を実現すべきである。

 

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