消費者の食品に対する安全・安心の確保のために放射性物質汚染食品による内部被ばくを防止する施策の実施を求める意見書

2011年10月19日
日本弁護士連合会



意見書について

日弁連は、2011年10月19日付けで「消費者の食品に対する安全・安心の確保のために放射性物質汚染食品による内部被ばくを防止する施策の実施を求める意見書」を取りまとめ、2011年10月28日付けで、厚生労働大臣、原子力災害対策本部長、農林水産大臣、文部科学大臣及び消費者庁長官に提出しました。

 

 

本意見書の趣旨

1 食品中に含まれる放射性物質の基準について、ICRP(国際放射線防護委員会)の1990年勧告による一般公衆1年当たり1mSv(ミリシーベルト)を参考にして厳格な基準値を設定すべきである。なお、この1mSvが、外部被ばく、内部被ばくを包含する数値であることから、自然放射線における外部被ばく、内部被ばくの平均的割合を考慮して、食品摂取による内部被ばくとしての許容量を設定し、さらに、水道水、牛乳・乳製品、野菜類、穀類、肉・卵・魚、加工食品等の日本人の食品摂取の実態等を踏まえて、食品ごとの基準を設定するべきである。



そして、この基準は、食品衛生法11条1項の規格基準として定めるべきである。



2 食品の放射性物質の検査体制について、対象地域で生産・採取された食品全種を流通前に検査すべきである。そのため、検査機器等の拡充を国の責任において早急に図るべきである。さらに、産地偽装等の防止のため、都道府県の食品衛生監視員による監視指導を強化すべきである。



3 食品ごとに放射性物質の測定値、測定機器及び検出限界を表示する制度を導入するべきである。



4 子どもに対する放射性物質の健康影響への不安を解消するため、食品の基準値の10分の1以下の測定値であったことを表示する任意の表示制度を国において導入するべきである。



また、学校給食においては、学校設置者は、給食に使用される対象地域の食材が、全て放射性物質の検査済みのものであることを確認し、さらに、保護者からの求めがあれば、検査内容を保護者に情報提供するべきである。



5 放射性物質の安全性について消費者に情報提供をする場合は、低線量被ばくについて、殊更安全性を強調することなく、科学的に安全性が確認されていないことを前提に、放射性物質の含まれる食品については、過剰摂取を控えるように注意喚起を促すなど、適切な情報提供を行うべきである。



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