東日本大震災復興構想会議の提言に対する意見書

2011年8月19日
日本弁護士連合会


意見書について

日弁連は、2011年8月19日付けで「東日本大震災復興構想会議の提言に対する意見書」を取りまとめ、内閣総理大臣、東日本大震災復興対策担当大臣に提出いたしました。

 

 

意見書の趣旨

東日本大震災復興構想会議の提言には、以下のとおり、基本的視点及び国の施策等を付加すべきである。


1 基本的視点



(1) 復興の主体は被災者であるという視点を据えること。



(2) 被災者の生活、権利及び人間の尊厳の回復を重視すべきこと。



(3) 復興施策について、新しい経済社会の追求や日本経済再生の要請を過度に強調すべきでないこと。



(4) 被災者、原発事故の被害者の生命・健康を最大限に尊重すべきこと。



(5) 震災対策における全てのプロセスにおいて、男女共同参画の視点を反映すべきこと。



2 地域づくりの施策・司法の充実について


(1) 被災地が提示する復興プランを実現するため、既存制度の弾力的運用、制度の新設・改善、国の補助率の大幅増加を行うべきこと。



(2) 被災地域の裁判所の増設、裁判官その他の裁判所職員を増員すべきであること。



(3)被災者に対する民事法律扶助の特例を認めるべきであること。


3 暮らしと仕事の復興について



(1) 雇用創出とともに、失業者、貧困者への対策を行うこと。



(2) 既存債務からの解放は、個人も含め、対象者をできる限り広くすること。



(3) 農林業、水産業につき、既存の事業者の保護に配慮すること。



(4) 女性の復興の担い手としての経済的自立を推進するため、女性の就業や起業を支援する施策を講じること。


4 原子力災害からの復興について


(1) 被害者及び国民に対する責任として、原子力発電所事故の原因究明・事故対応の検証を徹底すること。



(2) 原子力発電所事故の被害者に対して、被災者の生活再建という観点から、迅速かつ適切な損害賠償を確実に履行させる手立て及び災害救助法・被災者生活再建支援法による支援、除染・環境浄化・放射性廃棄物対策及び長期にわたる健康管理等行政による措置といった、複合的な救済・支援を行うべきこと。



(3) 原子力災害に絞った復興・再生の協議に住民の参加を求めるべきこと。



(4) 現在可能な救済策は速やかに実行し、東京電力株式会社に対しても損害賠償金の継続的仮払い・一時払い等を広く柔軟に行うよう求めるべきこと。


5 男女共同参画について



国、地方、地域など、あらゆるレベルの政策・方針決定過程、特に、復興計画、地域づくりなど、復旧・復興に関する検討、決定、推進を行う会議や組織等において、女性の参画を拡大すること。



(※本文はPDFファイルをご覧ください)