東日本大震災に関する第一次緊急提言

2011年4月14日
日本弁護士連合会


本提言について 

東日本大震災は、地震・津波・原子力災害という前例のない複合災害であり、被災地に壊滅的な被害をもたらしたばかりでなく、わが国の社会・経済全体に大きな衝撃を与えています。被災者の救済、被災地の復旧・復興そしてひいてはわが国全体の復興に向けて、国は最優先で全力で取り組むべきです。


当連合会や各地の弁護士会では電話や面談による無料法律相談を行うとともに多くの弁護士が避難所を訪問して相談に応じています。


そのような相談対応の中で浮かび上がってきた現状の問題点及び直ちに対応すべき事項をとりまとめた本緊急提言を4月19日に内閣総理大臣に提出しました。

 

本提言の内容

( )内は該当する章


第1 基本的視点(第2)
 コミュニティの維持・再生・発展
 地域住民の意見の尊重
 単なる建物等の復旧にとどまらないこと
 不合理な債務からの解放
 二重ローンの回避
 金融機関の債権放棄を促す政策
 無税償却、公的資金の注入、不良債権の買い取り等
 被災者に対する無利子/低利・長期の融資等
 生業と雇用の場の回復
 融資制度/助成制度の充実
 能力開発や就職支援


第2 原子力発電所事故
 事故対応体制の強化(第4-1、5、7)
 国内外のあらゆる機関の協力
 広域・長期の避難に対応した措置
 透明性のある事故原因調査
 情報の開示と避難範囲等の適切な指定(第4-2、6)
 放射能モニタリング体制の確立と正確迅速な情報公開・適切な規制値の設定と合理的な出荷
 制限
 住民等の被った様々な損害、損失に対する適切迅速な補償(第4-3、4)
 最終的に損害賠償責任を負うものが誰であるかにこだわることなく、被災者等の適切迅速な
 救済を
 原子力損害賠償審査会の公正な構成と運営


第3 法律相談体制の構築
 総合法律支援のための情報提供アクセスポイントの設置と相談態勢の充実(第3、1)
 刻々と変化する被災者等のニーズを汲み取る仕組み
 被災者の負担とならない法律相談態勢の構築
 民事法律扶助の抜本的改正(第3-2)
 資力要件の撤廃又は大幅緩和
 立替費用の原則的償還免除・猶予
 対象範囲の拡大(ADR、行政手続等)


第4 災害弱者への配慮(第3-15)
 外国人(第5)
 女性(第6)
 子ども(第7)
 高齢者・障がい者(第8)

 

第5 生活と労働
 生活保護の弾力的運用(第10-1)
 災害救助法・被災者生活再建支援法の弾力的運用(第3-5、8、第10-2、3)
 義援金等の早期適切な分配等(第3-6、第10-4、5)
 労働者の責めに帰することのできない事由による休業の賃金支給(第10-6)
 被災地企業、労働者の優先的利用の促進(第3-11、第10-7)
 震災・停電に藉口した雇い止め等の防止(第10-8)


第6 中小企業支援
 被災した中小企業とその取引先等の負担軽減(第11-1)
 緊急融資態勢の強化とその広報
 中小企業倒産防止共済法の弾力的運用
 小規模企業共済等の貸付けの活用(第11-2)
 再起が困難な被災中小企業の清算の簡素化(第11-5)
 雇用維持のための助成金等の活用(第11-7、8)


第7 その他
 今後のエネルギー政策(第10-11)
 復興のための土地政策等(第10-12、13、第12)
 廃棄物問題(第3-7)
 刑事収容施設の被収容者の処遇など(第13)

(※本文はPDFファイルをご覧ください)