高齢者施設の入居一時金等の問題に関する意見書

2011年2月18日
日本弁護士連合会


本意見書について

有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅(高専賃)などの高齢者用居住施設では、入居の際に様々な名目で高額の一時金(入居一時金)を徴収していることが多いですが、この入居一時金について多くの問題が生じています。


当連合会では、「高齢者施設の入居一時金等の問題に関する意見書」を2011年2月18日付けで取りまとめ、同年3月1日に厚生労働大臣、国土交通大臣、消費者庁長官に提出いたしました。


本意見書の趣旨

1 入居一時金について、厚生労働省は有料老人ホーム、国土交通省は高専賃につき、次の措置を講じるように求める。
(1) 入居一時金の金額設定や償却基準、期間(初期償却の設定を含む。)に関し、施設運営側の都合で、入居者に著しく不当な条件が設定されることのないよう、各施設が遵守すべき明快な指導指針等を改善・策定して、その実現を目指すこと。
(2) 入居者が施設に入居して90日以内に退去する場合、日割り計算による居住費、食費、サービス利用料及び一定限度の原状回復費用を除き、入居一時金を全額返還するべきことを法律上明示して、これを各施設に履行させること。
(3) 各施設が入居一時金の返還義務を確実に履行できるよう、信託や保険等による入居一時金保全の仕組みを改善もしくは新設して充実させ、今後新たに入所する人については全施設での保全を実現すること。


2 消費者庁は、消費者行政の指令塔として、厚生労働省及び国土交通省が上記1(1)、(2)、(3)記載の措置を講じるように指導するよう求める。


3 消費者庁は、「有料老人ホームに関する不当な表示」(平成16年4月2日公正取引委員会告示第3号)を見直し、適用を有料老人ホームに限定せず全ての高齢者施設についてのものに改めるとともに、特に入居一時金について判りやすく、誤解の余地のない表示を義務付け、表示内容の遵守の徹底を図るように求める。


(※本文はPDFファイルをご覧ください)